「神様、ごめん…」崩壊フジテレビと稲盛和夫、不祥事対応の決定的な違いPhoto:JIJI/EPA=JIJI

中居正広氏と女性とのトラブルをめぐり、フジテレビに激震が走っている。動画撮影を禁じた1月17日の閉鎖的な記者会見を受けて、CMスポンサーが雪崩を打ったように撤退。27日には一転、フルオープンで10時間超という異例の謝罪会見に踏み切ったが、依然として騒動が収まる兆しは見えない。

不祥事に直面した時、企業はどう動くべきなのか? 効果的な謝罪のあり方は? 「経営の神様」稲盛和夫氏の例から考えてみよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

フジテレビはどうすべきだったのか?

「最近では、朝の洗面時だけでなく、宴席帰りの夜などにも、自宅やホテルの部屋に戻り、寝ようとするときに、思わず『神様、ごめん』という『反省』の言葉が自分の口から飛び出してきます」

 こう述べたのは、京セラ、KDDIを創業、JALを再生し経営の神様と呼ばれた稲盛和夫氏だ。全文は、月刊『致知』2003年7月号の巻頭言「反省ある日々をおくる」に掲載されている。

 稲盛氏は、こう続ける。

《「ごめん」とは、自分の態度を謝罪したいという素直な気持ちとともに、至らない自分の許しを創造主に請いたいという、私の思いを表しています。大きな声でそう言うものですから、人が聞いたら、気がふれたと思われるかもしれません。しかし、一人になったときに、思わず口をついて出てくるこの言葉が、私を戒めてくれているのではないかと思うのです》

 ここまでの気持ちが、フジの経営陣にあったのだろうか。今回は企業の謝罪について述べたい。謝罪については、もう様々な研究や調査が行われているというのに、実際、自分が当事者となると、その通りに実践できないものだ。

 フジテレビが中居正広氏をめぐる問題で開いた1回目のクローズな会見は、世間の猛烈な怒りを買い、スポンサーが続々と撤退していくという企業存亡の危機を招いた。挙句に、フジテレビの港浩一社長と嘉納修治会長は辞職することになった。

 では、フジテレビはどうすればよかったのだろうか?