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あらゆる業界・企業において、今までの伝統的なマーケティングの取り組みが通用しなくなっている。長年デジタル経済を研究し続けている宮下雄治氏によれば、かつて優良企業と称賛された企業ほど、この傾向が強いという。従来の売り方と成功法則が通用しない時代に、顧客が本当に求めているものとは。※本稿は、宮下雄治『こうして顧客は去っていく サイレントカスタマーをつなぎとめるリテンションマーケティング』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

『週刊朝日』が101年の歴史に幕
メディア環境を変えたデジタル化

「メディアと流通」は、この20年余りで大きく様変わりしました。

 かつて大きな影響力を有していたマスメディアに代わり、Webメディアやソーシャルメディアの力が強まりました。生活者は情報収集からコミュニケーション、ショッピングまで新しく台頭したメディアへの依存を強めることになりました。

 SNSの発展により、話題や流行のつくられ方も大きく変わりました。インスタグラムやX(旧・ツイッター)などのSNSで盛り上がった話題を後追いする形でマスメディアが報じる、というスタイルがいつの間にか定着したように感じます。

 SNSが普及する前は、限られたメディアからトップダウンで情報が流れていましたが、今ではボトムアップの流れが主流になったことで、マスメディアへの依存度が急速に低下しました。

 若者を中心にテレビ離れが進む一方、新聞も2000年代前半には5000万部近くあった発行部数が、最近では3000万部を大きく割り込んでいます。SNSに囲まれて育ち、短文や動画に慣れ親しんでいる世代にとって、新聞は字ばかりで文章が長いと感じ、敬遠されてしまうのもよくわかります。

 雑誌においても、発行部数が伸び悩み、次々に休刊や廃刊に追い込まれました。日本で最も古いとされる総合週刊誌『週刊朝日』は2023年5月の発売号をもって、101年の歴史に幕を閉じました。