記者会見するフジテレビの(左から)港浩一社長、嘉納修治会長、フジ・メディア・ホールディングス(HD)の金光修社長=27日午後、東京都港区オープンな形式で行われたフジテレビのやり直し会見では、記者の姿勢が問題視される場面があった Photo:JIJI
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フジテレビも文春も火だるま…
勝者ゼロの地獄絵図

 ナチスドイツやヒトラーを取材したジャーナリストでもあったP.H.ドラッカーは「経済人の終わり」(ダイヤモンド社)の中でこんな警鐘を鳴らしている。

「プロパガンダ蔓延の危険性は、プロパガンダが信じ込まれる、ということにあるのではまったくない。その危険は、何も信じられなくなり、すべてのコミュニケーションが疑わしいものになることにある」

 この言葉は今の日本にそのまま当てはまる。少なくとも、中居正広氏に端を発した「フジテレビ問題」はそうだ。

 フジテレビ経営陣が世間の感覚とズレた対応をしている限り、信頼を取り戻せないということは、先週の《中居正広トラブルでフジテレビが存亡の危機!松本人志なんか比じゃない「ギョーカイの闇」》でも解説したとおりだ。

 1月27日に開催された「地獄の10時間会見」でも、トラブル把握後も中居氏の放送を1年以上も継続するという明らかに異常な経営判断を「被害女性のコンディションへの配慮」で押し通した。「フジテレビへの不信感」がさらに募る中で、さまざまな情報が飛び交い、何が本当かわからない状態だ。

 ただ、そんなフジテレビ以外にも急速に「社会の信用」を失っている人々が、フジテレビの「闇」を厳しく追及する一部のフリージャーナリストの皆さんだ。

 彼らにとっては「巨悪」を厳しく詰問し、精神的に揺さぶって言質を取るというのは、ベーシックな取材スタイルだ。しかし、その姿が記者会見の中継で全国に流れたことで、ACジャパンの「決めつけ刑事」の姿と見事に重なった。ネットやSNSでは批判が殺到。2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは、今回の会見で「フリーランスを入れると時間の無駄になる」ことがわかったと論評をしている。

 ただ、そんなフリージャーナリストの皆さんよりも「社会の信用」が爆下がりしている人々がいる。「週刊文春」だ。