2011年に中国では第12次の5カ年計画(2011~2015年、「十二5期間」)がスタートする。GDP(国内総生産)の面では、1968年以降ずっと世界ナンバー2の地位を固守してきた日本は、この時には間違いなく中国に追い抜かれる。1人当たりのGDPが途上国規模でありながら、全国の力を集めると世界2位の経済大国になる中国は、その富強と貧弱がともに巨大である。矛盾している中国がどう変化していくか、世界がそれをどう見るべきかが、注目されている。(北京在住ジャーナリスト 陳言)
去る4月26日には、政府国務院のシンクタンクである中国社会科学院から『中国都市競争力青書 2010年』が公表された。この青書も紹介しながら、2015年の中国の姿を占ってみよう。
国際基準の受け手から
基準を作る一員になる
「いままでの5年間で、経済成長は、やりすぎた重工業、過度の資源消耗、あまりにも多すぎる汚染物の排出などによって、維持されてきた。その仕組みを本格的に変えないまま、新しい十二5期間に入ろうとしている」と、清華大学国情研究センターの胡鞍鋼教授は、中国の経済体制上の問題を指摘する。と同時に、「今後の5年間は、中国経済は8~9%の経済成長を保ち、新しい工業化を目指さなければならない」と主張した。
うまく行けば、「今後、中国は世界での地位が高まり、役割と影響がますます大きくなるだろう。結局、国際政治の中で、中国は常に指導される側から指導者になり、国際基準の受身的な受け手から基準を作る一員になる。すなわち、中国は西側文化の吸収者から、世界の多様化をもたらす革新者になっていくだろう」と、胡教授は展望する。
この予想のように、中国はそれなりの力を、本当に持つだろうか。それを考えるには、中国の実力と限界をともに明らかにしなければならないと思われる。