世界投資へのパスポート
【第394回】 2015年11月30日公開(2017年11月17日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
広瀬 隆雄

今週はIMFの特別引出権(SDR)を巡る決定、
イエレン議長のスピーチ、OPECの会合など
重要イベント目白押し! 株式投資のスタンスは?

<今回のまとめ>
1.先週のマーケットは小動きだった
2.IMFの特別引出権の準備通貨に人民元が採用されるか注目
3.イエレン議長は2つのスピーチをする
4.ECB会合にも注目
5.OPEC会合ではサウジアラビアの動きに注目
6.雇用統計も控えている
7.今は季節的に相場が強い時期なので強気を崩すな

先週のマーケットはいつもより短く小動き

 先週は木曜日に感謝祭の休日があり、金曜日も半日立会いでした。このためいつもより短縮された週となりました。週間ベースでは、ダウ工業株価平均指数が-0.14%、S&P500指数が+0.04%、ナスダック総合指数が+0.44%でした。

今週は重要なイベントが盛りだくさん

 今週は重要なイベントがたくさん控えています。それらを順番に見てゆくことにしましょう。

◆IMFと中国

 月曜日には国際通貨基金(IMF)が特別引出権(SDR: Special Drawing Rights)の準備通貨に人民元を加えるかどうかを発表します。

 既にIMFは人民元を加える意向であることをシグナルしています。この関係で、人民元が準備通貨の仲間に加わることは、ほぼ確実だと思います。

 むしろ注目されるのは構成比率に占める人民元のシェアです。

 SDRの見直しは5年に一回で、過去2回の決定では、それぞれの構成通貨の比率は下のグラフの通りでした。

 今回、中国は「貿易の実績などからして、少なくとも日本より大きな扱いを受けて当然だ」と主張しています。

 したがってしく人民元に付与される比率が日本を上回れば中国国内的には成功だとみなされ、逆に日本より少ないウエイトに甘んじるなら失敗とみなされると思います。

◆SDRの持つ意味

 アメリカは1971年まで、ゴールドとドルを、1オンス=35ドルで交換できるという兌換性を維持してきました。

 ゴールドは地中から発見し、掘り出さないといけないので、おいそれと供給を増やすわけにはゆきません。

 すると兌換性を維持している限り、ドルの供給も増やせなくなるわけです。

 一般に世界の貿易量が増えると、その貿易を決済するのに必要な通貨の量も増えます。

 すると、もっと貿易を振興しようと思えば、ドルの供給を増やす必要が出ます。そこで不足気味のドルの代りとなるものとして、SDRが1969年に考案されたのです。

 SDRは、IMFの中だけで通用する「通貨」です。だからSDRで一般の市民や企業がモノを買うということは、できません。つまりIMF内における各国政府の準備を補完するための、帳簿上の覚書のようなものがSDRなのです。

 こうしてせっかく創設されたSDRですが、1971年にアメリカのニクソン大統領がゴールドとドルの兌換を止めると発表したため、アメリカは際限なくドル札を刷れるようになりました。これがいわゆる「ニクソン・ショック」という事件です。

 この結果、当然、ドル紙幣が不足するという現象も過去のものとなったため、SDRは創設されて僅か2年足らずで、実質的な存在理由を喪失したのです。

 実際、SDRはこれまでに僅か2回しかメンバー国に分配されていません。一回目はSDRが創設された1969年で、二回目は1981年です。

こんにちSDRは大国の威信の象徴としての意味しかありません

 ただ中国政府は人民元のSDR採用を当面の最も重要な達成目標に掲げているため、これをやり遂げることはひとつの区切りになります。

◆イエレン議長の予定

 次にジャネット・イエレン議長のスケジュールの話に移ります。

 イエレン議長は水曜日にワシントンDC経済クラブでスピーチします。その翌日、木曜日には、両院合同経済委員会での証言が控えています。

 12月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、いよいよ米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートの0.25%の引上げが予想されていることから、ここでメッセージがブレではいけません。目前に迫った利上げにむけて、着々前進していることをアピールするものと思われます。

◆欧州中央銀行(ECB)

 同じく木曜日には欧州中央銀行(ECB)が政策金利の発表を行います。ドラギ総裁は、必要であれば追加の緩和をする準備があることを再三再四シグナルしてきました。

加えてパリ同時テロ、ブリュッセルが警戒態勢を敷いたことなど、消費者のセンチメントにとってマイナスとなるような事件が相次いでいます。

これらの事から、ひょっとすると追加の緩和が発表されるかも知れません。ただ足下の欧州の経済指標はそれほどひどくないですし、米国の利上げを目前に控えていることもあり、今回はなにもしないというシナリオも除外出来ないと思います。

◆OPEC会合

 金曜日には石油輸出国機構(OPEC)の会合があります。OPECは世界の原油生産の42%を占めています。

 その中でも最も有力な、メンバーはサウジアラビアです。サウジアラビアは去年、原油価格下落局面に際して、敢えてマーケットシェアの維持を優先し、価格を犠牲にする決断を下しました。

 あれから1年を経て、サウジアラビアの態度が変わるかどうかが注目されます。

◆雇用統計

 最後に金曜日には雇用統計の発表もあります。非農業部門雇用者数のコンセンサスは+20万人、失業率は5.0%です。

◎まとめ

 まとめると、今週はいろいろなイベントが目白押しです。しかしサプライズが出る可能性は低いと思います。12月は相場が強い月です。したがって引き続き強気のスタンスを堅持すべきだと思います。

【2017年10月1日更新!】

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