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富士通と東芝の事業統合が暗示する「大再編時代」
日本の携帯電話市場に“光”は見えるか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第130回】 2010年6月22日
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 6月中旬、富士通と東芝が、年内における携帯電話事業の統合に合意したと発表した。今回の事業統合が実現すると、携帯電話部門におけるシェアは約19%で、トップのシャープに次ぐ第2位のメーカーとなる。

 携帯電話事業における国内メーカー同士の主な統合を振り返ると、2004年の日立とカシオ計算機の事業統合、08年の京セラによる三洋電機携帯部門の買収、さらには今年6月のNECとカシオ日立モバイルコミュニケーションの統合があった。

 今回の富士通と東芝の統合によって、一時は11社あった国内メーカーが6社に集約されることになる。不況で携帯電話の新規販売が落ち込むなか、今後も世界市場での生き残りをかけた大手携帯メーカー同士の企業再編が、さらに進むと見られる。

 NEC、カシオ、日立連合に続く、今回の富士通と東芝の統合は、日本の携帯電話市場に蔓延する危機感を暗示しているとも思える。改めて、市場の行方を占ってみよう。

キャリアの“囲い込み”によって
守られ続けてきた携帯電話メーカー

 携帯電話メーカーの再編の要因の1つに、「ガラパゴス現象」と言われる国内市場の特殊性がある。もともとわが国の携帯電話メーカーは、独自の高度な技術を使った、高機能・高価格タイプの製品を志向した。

 また、NTTドコモやKDDI(au)などの携帯キャリアは、当初、特定の端末メーカーと排他的な製品供給の関係を好んだ。いわゆる“囲い込み”だ。

 その結果、わが国の携帯市場は、海外からの参入が難しいと同時に、わが国メーカーが海外市場へ進出するのが困難な状況を作り出すことになった。そのため、わが国の携帯電話市場は、海外市場とは遮断された独特の道を歩むことになった。

 問題は、わが国の市場規模が限られていることだ。メーカーが事業規模を拡大しようとしても、多くの潜在的な需要が見込める海外市場への展開が難しいため、拡大余地が限られてしまう。わが国メーカーは高い技術を持っていながら、それを今後高い成長が見込める、アジアなどの新興市場に展開することができないというジレンマを抱えることになった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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