
真壁昭夫
「トヨタの約3倍ってマジか…」ファーウェイの巨額開発費が突きつける、日本半導体の危機
中国の半導体産業の競争力が最近、急上昇している。日本勢が得意とする半導体製造装置や関連部材でも、中国勢が急速に技術力を上げていることへの警戒感が出ている。中でも注目すべきは華為技術(ファーウェイ)だ。ファーウェイの研究開発費は年間3.6兆円で、他に投資ファンドも設定している。翻ってトヨタ自動車は同1兆3700億円だ。日本が半導体産業を再興できるか、今まさにチャンスとピンチが同時にやって来きている。

三菱商事の「洋上風力撤退」が日本経済にもたらす“大きすぎる代償”とは?
三菱商事が洋上風力発電事業から撤退した。その数日前に、鹿島建設の計画離脱が報じられた。政府は、発注した事業者と綿密にコミュニケーションを取っていれば、別の方策が取れた可能性もあっただろう。3海域で事業者を再公募する見通しだが、不確定な要素は多い。電力料金の値上がりに対しては消費者の敏感になっている。一刻も早いエネルギー政策の練り直しに、絶対欠かせない視点とは?

1円を秒で世界に送金?日本初「ステーブルコイン」誕生の衝撃と見逃せないリスク
暗号資産(仮想通貨)とは異なる、「ステーブルコイン」が9月にも日本で発行される見込みだ。米国では、非金融企業がステーブルコイン事業を急拡大している。2030年までに世界のステーブルコイン市場は3.7兆ドル(約540兆円)に成長するとの試算もある。日本の金融業にも相当の影響を与えるはずだ。いったいどんなものか、利用者のメリットとリスクは何か。

トランプの横暴で失速する未来…日本が自力で生き残るための「2つの技術」とは?
日本は、安全保障面で米国との同盟関係を基礎にすることに変わりはないが、米国一辺倒のスタンスは危険すぎる。経済面では、関税引き上げなど米国の要求に対応しつつ、自力で多国間の連携を推進する必要がある。カギを握るのが、日本の最大の強みである製造分野や技術を生かした展開だ。ある二つの技術を他国に提供することで、日本が主体的に多国間連携を促進できる可能性がある。

トランプ関税交渉で日本側がやらかした大失態、EUができて日本ができなかった「外交の超基本」とは?
日米関税交渉は合意文章がなく「口約束だけ」という常識では考えられない事態に陥った。日本が、米国政府の機能低下に付き合ってしまった格好であり、「日本側の失態」と非難されても仕方がないだろう。なぜなら欧州委員会は、それなりにきちんと対応していたからだ。日本が圧倒的に不足していたことは何か。自国の利益を守るために何をすべきなのか。

トランプ関税ショックが引き金…「世界自動車大再編」で買収の標的になり得る日本メーカーはどこか
世界の主要自動車メーカーの4~6月期決算が出そろいつつある。決算内容からはトランプ関税が各社の業績に与える影響が鮮明に表れた。自動車業界は現在、“100年に1度”の大変革期を迎えている。こうした中、トランプ関税は、世界の自動車業界再編を加速させる“起爆剤”となる可能性がある。もし日本メーカーが有効な生き残り戦略を打ち出せなければ、海外企業による買収の標的となる恐れもある。

ギリシャの二の舞か…「現金給付」「消費減税」バラマキ政策が招く“悲惨すぎる末路”とは?
「消費税の減税」で私たちの生活は本当に良くなるのだろうか?財源確保には国債を発行せざるを得ないが、国債増発は金利上昇を招き、住宅ローンの金利上昇を招くだろう。中小企業の経営悪化、倒産の増加も心配だ。何より最大の影響を受けるのは、政府の利払い負担だ。利回りがその国の成長率を上回り始めると、雪だるま式に利払い費用が増えて財政赤字が急拡大することを絶対に忘れてはいけない。今の日本に本当に必要な政策は、いったい何か。

セブン&アイは買収防衛できた?いやいや、また狙われます…前途多難な経営課題とは
セブン&アイへの買収提案をカナダのコンビニ大手が撤回した。しかし、同社の先行きは全く楽観できない。稼ぎ頭の北米コンビニ事業を切り離すなら、海外戦略をどのように描き直すのか。セブン&アイは国内外で小売業界再編の主役にも、あるいは再び買収のターゲットにもなりうるのだ。

営業利益56%減の衝撃…「サムスン電子の苦戦」が突きつけた「AI後進国ニッポン」への警告
米エヌビディアの時価総額が史上初となる4兆ドル(約588兆円)を突破した。韓国SKハイニックス、半導体ファウンドリーの台湾TSMCの業績も好調だ。一方、サムスン電子は減収減益でファウンドリー事業は赤字続き。明暗を分けるのがAIへの対応だ。他方、日本企業のAIへの意識は低く、このままではAI後進国まっしぐらである。どうすればいいのか。

任天堂の業態転換は経営戦略論のよいケーススタディーといえる。その歴史を振り返ると、(1)経営者が自社の守備範囲を事前に絞らなかったこと、(2)長期の視点に基づいた世界経済の展開への適応、(3)才能の重視――の三つが浮上する。

物価高対策で「給付金」と「減税」の2択しかない日本人を待ち受ける「もっと深刻な生活苦」
7月20日に参議院選挙が迫る中、日本経済の本当の課題を突き詰めて考えたい。「バラまき」とも批判される政府の給付金などではなく、日本経済を根本から良くするための課題解決が求められるはずだが、それは何か。

日産の国内販売140万台→47万台に激減!「買いたい車がない」状態でホンハイと協業してもBYDに勝てるのか
日産自動車が台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と電気自動車(EV)での協業を検討していると報じられた。また、中国を低価格EVの輸出拠点にする想定もあるという。トランプ関税の逆風も吹きすさぶ中、日産の再生に残された道は、他社との協業しかないだろう。問題は、エスピノーサ新体制がそれを決断できるかだ。

日本製鉄が漏らした“苦し紛れ発言”、3兆6000億円のUSスチール買収で背負った「大きすぎる代償」とは
日本製鉄は株主総会で、買収したUSスチールの経営について、株主から「米政府に手足を縛られるのではないか」と質問されると、「米政府に経営を牛耳られるなら、今回の案件はやらなかった」(橋本英二会長)と応じたと報道されている。果たして日本製鉄は割高な買収コストを回収できるのだろうか。

トヨタが合意した日野自動車の経営統合、“裏の標的”が「テスラとBYD」だと言えるワケ
ある意味で総合商社的な存在であるトヨタ自動車が、強みを生かした特定分野に集中し投資を行う方針にかじを切っている。日野自動車の経営体制の変更で、トヨタと協力体制の象徴だった羽村工場はどうなるのか?トヨタがテスラやBYDを追いかける戦略とは?日産自動車の業績悪化でマレリが再び経営破綻する中、自動車業界の再編はどのように進むのだろうか。

「ゆうパック」はどうなる?日本郵便の「不適切点呼」で露呈した「さらに深刻な問題」とは
日本郵便が配達員の酒気帯びを確認する点呼を適切に実施していなかった問題で、国土交通省からトラックやバン約2500台の貨物運送許可を取り消す行政処分案を通知された。宅配便「ゆうパック」は維持できるのか。ヤマト運輸や佐川急便など委託先の調整が急務だ。行政処分は6月中にも確定するもようだが、今回明るみになったのは氷山の一角に過ぎないかもしれない。どうも、日本郵便という組織の欠陥のような大きな要素が隠れている気がしてならないのだ。

そりゃトランプ大統領も喜ぶわ…「黄金株」を差し出してまで日本製鉄が「USスチール買収」にこだわるワケ
最近、トランプ氏の機嫌が良くなった事案がある。日本製鉄による、USスチール買収で約2兆円もの投資が動きそうなことだ。さらに日本製鉄からの「ある提案」が、難航していた買収計画を一転して、歓迎ムードにしている。ただし、日本側が浮かれるのは時期尚早だ。トランプ大統領の任期が終了した後も、日本企業が米国の政治に振り回されるケースがますます増えそうな気配がある。

トヨタでもBYDでもない、世界の自動車大再編のカギを握る日本メーカーの名前
三菱自動車が台湾ホンハイからEVのOEM供給を受けることで合意した。背景には日産の経営難とホンダとの統合破談があり、トランプ関税も無視できない。ASEAN市場が日本車の牙城ではなくなる中、三菱自動車とホンハイの提携は業界再編の呼び水となり、自動車の知的財産や技術が、中国やアジア新興国へ移転するきっかけにもなると考えられる。

残念ですが、小泉進次郎大臣でも米価は下げられません…「5kg2000円」の備蓄米がもたらす「悪夢のシナリオ」
小泉農水大臣が、「備蓄米を5キロ2000円台で店頭に並べたい」と発言。コメの値下がりに向けて500人規模の専門チームを発足させた。“コメ担当大臣”の活発な動きは注目される一方、“ズレている”との批判も。専門家は、「今年の新米の価格は下がらない」と分析する。日本人の食を守る立場である農水大臣には、苦し紛れの選挙対策ではなく、長い目で見たわが国の農業のあり方を真剣に考えてほしい。

日産は氷河期世代も対象…パナソニックは黒字でも断行、人手不足の日本で「大規模リストラ」が連続するワケ
パナソニックや日産自動車の国内における大規模なリストラが世間の耳目を集めている。日本全体では人手不足が叫ばれる中で、なぜ大企業のリストラが連続しているのか。こうしたリストラではバブル世代だけでなく、就職氷河期世代も対象となりつつあるが、個人レベルで対応できることはあるのか。

こりゃ日本も危ないわ…成長が速すぎてエヌビディアを震えあがらせる「半導体企業」とは
半導体や製造装置などの技術分野で、中国企業の実力には懐疑的な声が多かった。しかし、世界で最もこの分野に詳しいであろう米エヌビディアのフアンCEOは最近、焦燥感や危機感をあらわにした発言を繰り返している。トランプ氏の対中強硬策が、中国AI企業の競争力を上げる皮肉な状況が生み出されているとしたら…米国の優位性がなくなれば、同盟国であるわが国が得意とする製造・検査装置ビジネスにも多大な影響を被ることになる。決して対岸の火事ではいられない。
