
真壁昭夫
営業利益56%減の衝撃…「サムスン電子の苦戦」が突きつけた「AI後進国ニッポン」への警告
米エヌビディアの時価総額が史上初となる4兆ドル(約588兆円)を突破した。韓国SKハイニックス、半導体ファウンドリーの台湾TSMCの業績も好調だ。一方、サムスン電子は減収減益でファウンドリー事業は赤字続き。明暗を分けるのがAIへの対応だ。他方、日本企業のAIへの意識は低く、このままではAI後進国まっしぐらである。どうすればいいのか。

任天堂の業態転換は経営戦略論のよいケーススタディーといえる。その歴史を振り返ると、(1)経営者が自社の守備範囲を事前に絞らなかったこと、(2)長期の視点に基づいた世界経済の展開への適応、(3)才能の重視――の三つが浮上する。

物価高対策で「給付金」と「減税」の2択しかない日本人を待ち受ける「もっと深刻な生活苦」
7月20日に参議院選挙が迫る中、日本経済の本当の課題を突き詰めて考えたい。「バラまき」とも批判される政府の給付金などではなく、日本経済を根本から良くするための課題解決が求められるはずだが、それは何か。

日産の国内販売140万台→47万台に激減!「買いたい車がない」状態でホンハイと協業してもBYDに勝てるのか
日産自動車が台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と電気自動車(EV)での協業を検討していると報じられた。また、中国を低価格EVの輸出拠点にする想定もあるという。トランプ関税の逆風も吹きすさぶ中、日産の再生に残された道は、他社との協業しかないだろう。問題は、エスピノーサ新体制がそれを決断できるかだ。

日本製鉄が漏らした“苦し紛れ発言”、3兆6000億円のUSスチール買収で背負った「大きすぎる代償」とは
日本製鉄は株主総会で、買収したUSスチールの経営について、株主から「米政府に手足を縛られるのではないか」と質問されると、「米政府に経営を牛耳られるなら、今回の案件はやらなかった」(橋本英二会長)と応じたと報道されている。果たして日本製鉄は割高な買収コストを回収できるのだろうか。

トヨタが合意した日野自動車の経営統合、“裏の標的”が「テスラとBYD」だと言えるワケ
ある意味で総合商社的な存在であるトヨタ自動車が、強みを生かした特定分野に集中し投資を行う方針にかじを切っている。日野自動車の経営体制の変更で、トヨタと協力体制の象徴だった羽村工場はどうなるのか?トヨタがテスラやBYDを追いかける戦略とは?日産自動車の業績悪化でマレリが再び経営破綻する中、自動車業界の再編はどのように進むのだろうか。

「ゆうパック」はどうなる?日本郵便の「不適切点呼」で露呈した「さらに深刻な問題」とは
日本郵便が配達員の酒気帯びを確認する点呼を適切に実施していなかった問題で、国土交通省からトラックやバン約2500台の貨物運送許可を取り消す行政処分案を通知された。宅配便「ゆうパック」は維持できるのか。ヤマト運輸や佐川急便など委託先の調整が急務だ。行政処分は6月中にも確定するもようだが、今回明るみになったのは氷山の一角に過ぎないかもしれない。どうも、日本郵便という組織の欠陥のような大きな要素が隠れている気がしてならないのだ。

そりゃトランプ大統領も喜ぶわ…「黄金株」を差し出してまで日本製鉄が「USスチール買収」にこだわるワケ
最近、トランプ氏の機嫌が良くなった事案がある。日本製鉄による、USスチール買収で約2兆円もの投資が動きそうなことだ。さらに日本製鉄からの「ある提案」が、難航していた買収計画を一転して、歓迎ムードにしている。ただし、日本側が浮かれるのは時期尚早だ。トランプ大統領の任期が終了した後も、日本企業が米国の政治に振り回されるケースがますます増えそうな気配がある。

トヨタでもBYDでもない、世界の自動車大再編のカギを握る日本メーカーの名前
三菱自動車が台湾ホンハイからEVのOEM供給を受けることで合意した。背景には日産の経営難とホンダとの統合破談があり、トランプ関税も無視できない。ASEAN市場が日本車の牙城ではなくなる中、三菱自動車とホンハイの提携は業界再編の呼び水となり、自動車の知的財産や技術が、中国やアジア新興国へ移転するきっかけにもなると考えられる。

残念ですが、小泉進次郎大臣でも米価は下げられません…「5kg2000円」の備蓄米がもたらす「悪夢のシナリオ」
小泉農水大臣が、「備蓄米を5キロ2000円台で店頭に並べたい」と発言。コメの値下がりに向けて500人規模の専門チームを発足させた。“コメ担当大臣”の活発な動きは注目される一方、“ズレている”との批判も。専門家は、「今年の新米の価格は下がらない」と分析する。日本人の食を守る立場である農水大臣には、苦し紛れの選挙対策ではなく、長い目で見たわが国の農業のあり方を真剣に考えてほしい。

日産は氷河期世代も対象…パナソニックは黒字でも断行、人手不足の日本で「大規模リストラ」が連続するワケ
パナソニックや日産自動車の国内における大規模なリストラが世間の耳目を集めている。日本全体では人手不足が叫ばれる中で、なぜ大企業のリストラが連続しているのか。こうしたリストラではバブル世代だけでなく、就職氷河期世代も対象となりつつあるが、個人レベルで対応できることはあるのか。

こりゃ日本も危ないわ…成長が速すぎてエヌビディアを震えあがらせる「半導体企業」とは
半導体や製造装置などの技術分野で、中国企業の実力には懐疑的な声が多かった。しかし、世界で最もこの分野に詳しいであろう米エヌビディアのフアンCEOは最近、焦燥感や危機感をあらわにした発言を繰り返している。トランプ氏の対中強硬策が、中国AI企業の競争力を上げる皮肉な状況が生み出されているとしたら…米国の優位性がなくなれば、同盟国であるわが国が得意とする製造・検査装置ビジネスにも多大な影響を被ることになる。決して対岸の火事ではいられない。

家電の失敗は繰り返さない…トヨタとダイムラーが「トラック連合」に踏み切った“切実な理由”とは?
トランプ関税への対応に政財界が追われている。石破茂首相はトヨタ自動車の豊田章男会長と急遽面会し、自動車産業への影響を意見交換した。中国勢の台頭も目覚ましい中、生き残れる自動車メーカーの条件とは?危機感が、トヨタと独ダイムラーの合従連衡および世界最大級のトラック連合の誕生へつながり、自動車再編が他業界でのリストラや再編の呼び水となるはずだ。

半導体エヌビディアCEOが「いつもの革ジャン」を脱ぎ捨て北京に向かった「深刻な事情」とは?
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが北京を急きょ訪問。トレードマークの革ジャンではなく、正装で中国貿易団体トップと会談した。一方、習近平国家主席は世界の主要な半導体企業が拠点を置くマレーシアを訪問。中国はマレーシアを、対米貿易戦争の仲間へ引き込もうとしているのか。習氏が「アジアの家族」というワードを使い始めた狙いとは。

トランプ関税は“急所”を突かれて微修正に動いた…世界の投資家が「米国離れ」の皮肉
トランプ米大統領が日本の非関税障壁に、事実無根なボウリング球試験を持ち出して難癖をつけるSNS投稿をした。それはさておき、相互関税は世界の金融市場を混乱させ、投資家の「米国離れ」を引き起こしている。政策を発動させたのに朝令暮改で微修正に動いているのは、そうせざるを得ない“急所”があるからだ。それは何か。

残念ながらトランプ関税で製造業は復活しません…アメリカ人が意外と気づいていない「弱点」
トランプ米大統領は相互関税を90日間延期する一方で、中国には追加関税を145%に引き上げると発表。まさに“朝令暮改”であり、世界の主要株価は乱高下している。続いてスマホを除外したかと思えば、「新たな半導体関税に組み入れる」と表明。迷走するトランプ氏に、世界経済が連日振り回されている状況だ。そもそもトランプ氏の成功シナリオには矛盾があり、米国の弱点を補うため製造業を再興しようにも、ある決定的な要素が「足かせ」になるだろう。

トヨタもVWも株価を下げたトランプ関税、唯一株価を上げた自動車メーカーとは
4月7日の日経平均株価が急落し、過去3番目に大きい下落幅となった。トランプ米政権の「相互関税」に、中国をはじめ各国が対抗措置を発表・検討。“貿易戦争”で世界同時不況になるリスクが高まっている。当のトランプ氏は「株価の下落は貿易赤字の解消のために必要なプロセス」「何かを治すには『薬』が必要な時もある」と意に介さない。また、関税引き上げの対象国になぜかロシアは含まれていない。トランプ氏に付ける薬はないのだろうか。

理由を知ればゾッとする…三菱自動車がEV生産を委託するホンハイの「本当の狙い」
三菱自動車が、台湾の電子機器大手ホンハイにEVの生産委託を検討している。ホンダと日産自動車の統合が破談し、三菱自も生き残りの道を模索する中、強かったASEAN市場では中国勢の勢いに負けてシェアを落としている。ホンハイは三菱自の製造技術の吸収を重視しているはずだ。今後、ホンハイが三菱自の買収を目指す可能性もあるだろう。わが国の製造技術が海外流出するリスクも否定できないが、どうすればいいのか。

そりゃメキシコ出身を選ぶわ…窮地の日産が「クルマ好き」外国人を新社長に選んだワケ
日産自動車の新社長はメキシコ出身で“カー・ガイ”、「日産愛が強い」と評されている。実は、今や日産のグローバル生産台数はメキシコがトップで、中国や日本を抜いた。トランプ関税のリスクを最小限にするためにも、北米市場に詳しい新社長が選ばれたのだろう。ただし、日産が単独で自力再建するのは容易ではない。救世主になるのは台湾ホンハイか競合ホンダか…。新社長は難しい決断を迫られそうだ。

中国経済に漂う「不吉な既視感」…物足りない景気刺激策が拍車をかける、中国版「失われた30年」の現実味
中国政府が5000億元(約10兆円)の国債を発行し、国有大手銀行に公的資金を注入する。住宅価格は下落基調でデフレ圧力が強い中、不動産バブルの後始末を本格化させる。ただし、公式統計では不良債権残高は約3兆元(約60兆円)だが、実態は統計以上と推計され、国際機関は、「中国の隠れ債務は60兆元(約1200兆円)に達する」と推計。今回の規模は十分とは言い難い。日本も「失われた30年」を経験したが、本格的な景気回復に欠かせない要素は何か。
