真壁昭夫
エヌビディアもファーウェイもソフトバンクも…世界のIT大手がのめり込む「AIの次」の事業とは
日経平均株価が最高値を更新し初の5万2000円台に突入した。米IT大手アップルの決算が好調で、ハイテク企業への注目が背景にある。世界のIT大手が今、開発を競うのが「ロボット」だ。AI分野は、推論モデルから「フィジカルAI」開発にシフトし始めた。ヒト型ロボットの実装化は、私たちの労働や生活にどんな影響をもたらすのか。映画『ターミネーター』のように人類滅亡の危機はないのか。期待とリスクが交錯するロボット開発競争の行方とは。

減税→経済成長→財政健全化?世界の潮流に逆行する高市内閣が目をそらす「社会保障改革の核心」
高市早苗首相の経済政策「サナエノミクス」がフォーカスされる一方、年金や医療、介護保険などの社会保障制度を見直す「国民会議」にも注目すべきだ。現行制度は、基本的に人口増加を前提に設計し運営している。この前提が狂い始めているため、可能な限り公平に、持続可能な制度へ変革しなければいけない。痛みを伴う改革でカギを握るのが、消費税率の引き上げだ。

アサヒもアスクルも無印良品も…なぜサイバー攻撃が増えたのか、IT効率化の「大きな弊害」とは
「スーパードライ」が出荷できなくなったアサヒビールに続いて、通販大手「アスクル」や「ロハコ」もサイバー攻撃を受けた。この影響で人気ブランド「無印良品」のネットストアも一時停止中だ。なぜ世界でサイバー攻撃が増えているのか。ITによる効率化の「大きな弊害」を探る。ネットの寸断が生活に深刻な影響をもたらす今、アサヒの事例は決して他の企業にとって他人事ではない。

身勝手すぎないか?トランプ大統領がTikTok規制法を覆した「まさかの理由」
「ノーベル平和賞を受賞したい」旨をSNSでも発信し続けているトランプ米大統領。彼にとってSNSは欠かせないツールだ。アカウントのフォロワー数が300万人超の「TikTok」も例外ではない。中国への情報漏えいリスクから、バイデン前政権はTikTok規制法を成立させたが、トランプ氏は覆してしまった。オラクル中心の米企業連合がTikTokの米国事業を約2兆円規模で買収する見込みだが、米中対立の火種は依然として残ったままだ。

残念ですが、移民なしで日本経済は回りません…「自国にプラスになる外国人」を受け入れて人口を増やした国とは?
「日本人ファースト」に端を発して議論が過熱している外国人労働者の受け入れ問題。日本が海外の移民政策から学ぶことは多い。ドイツは移民の誘致と同時に、解雇に関する規制緩和など一大改革を行い、経済成長率を高めた。スウェーデンは2024年、約500万円を支払う代わりに社会になじめなかった外国人に帰国を求めた。シンガポールは、「自国にプラスになる外国人」の受け入れを明示。社会に順応できる移民を選別し、慎重に管理する方針だ。日本は外国人をどのように受け入れ、社会と経済の活力向上につなげればいいのか。

こりゃディズニー超えるかもな…『鬼滅の刃』を北米で大ヒットさせたソニーがコンテンツで世界トップの座を奪う現実味
ソニーグループは9月29日、金融子会社を東証プライム市場に再び上場した。新しいグループの再編を進める中、エンターテインメント事業を半導体事業と並ぶ収益源に育て、この分野で世界トップになることを目指している。ソニーが、世界的な総合エンターテインメント企業である米ウォルト・ディズニー社を超えるための課題は何か。

残念ですが、新米が出ても安くなりません…農家でもJAでもない、コメ高騰の「真の原因」とは?
新米の時期になっても令和のコメ騒動は収束する気配がない。小泉農水相は備蓄米を放出したが、結果的にコメの価格は再上昇しつつある。家計の節約志向から「パックご飯」の売れ行きが好調だが、原材料高騰を見据えて10月から値上げに踏み切るという。自民党は総裁選で5人が立候補したが、従来の農業政策の複雑・非効率を変えられるのだろうか。

「トヨタの約3倍ってマジか…」ファーウェイの巨額開発費が突きつける、日本半導体の危機
中国の半導体産業の競争力が最近、急上昇している。日本勢が得意とする半導体製造装置や関連部材でも、中国勢が急速に技術力を上げていることへの警戒感が出ている。中でも注目すべきは華為技術(ファーウェイ)だ。ファーウェイの研究開発費は年間3.6兆円で、他に投資ファンドも設定している。翻ってトヨタ自動車は同1兆3700億円だ。日本が半導体産業を再興できるか、今まさにチャンスとピンチが同時にやって来きている。

三菱商事の「洋上風力撤退」が日本経済にもたらす“大きすぎる代償”とは?
三菱商事が洋上風力発電事業から撤退した。その数日前に、鹿島建設の計画離脱が報じられた。政府は、発注した事業者と綿密にコミュニケーションを取っていれば、別の方策が取れた可能性もあっただろう。3海域で事業者を再公募する見通しだが、不確定な要素は多い。電力料金の値上がりに対しては消費者の敏感になっている。一刻も早いエネルギー政策の練り直しに、絶対欠かせない視点とは?

1円を秒で世界に送金?日本初「ステーブルコイン」誕生の衝撃と見逃せないリスク
暗号資産(仮想通貨)とは異なる、「ステーブルコイン」が9月にも日本で発行される見込みだ。米国では、非金融企業がステーブルコイン事業を急拡大している。2030年までに世界のステーブルコイン市場は3.7兆ドル(約540兆円)に成長するとの試算もある。日本の金融業にも相当の影響を与えるはずだ。いったいどんなものか、利用者のメリットとリスクは何か。

トランプの横暴で失速する未来…日本が自力で生き残るための「2つの技術」とは?
日本は、安全保障面で米国との同盟関係を基礎にすることに変わりはないが、米国一辺倒のスタンスは危険すぎる。経済面では、関税引き上げなど米国の要求に対応しつつ、自力で多国間の連携を推進する必要がある。カギを握るのが、日本の最大の強みである製造分野や技術を生かした展開だ。ある二つの技術を他国に提供することで、日本が主体的に多国間連携を促進できる可能性がある。

トランプ関税交渉で日本側がやらかした大失態、EUができて日本ができなかった「外交の超基本」とは?
日米関税交渉は合意文章がなく「口約束だけ」という常識では考えられない事態に陥った。日本が、米国政府の機能低下に付き合ってしまった格好であり、「日本側の失態」と非難されても仕方がないだろう。なぜなら欧州委員会は、それなりにきちんと対応していたからだ。日本が圧倒的に不足していたことは何か。自国の利益を守るために何をすべきなのか。

トランプ関税ショックが引き金…「世界自動車大再編」で買収の標的になり得る日本メーカーはどこか
世界の主要自動車メーカーの4~6月期決算が出そろいつつある。決算内容からはトランプ関税が各社の業績に与える影響が鮮明に表れた。自動車業界は現在、“100年に1度”の大変革期を迎えている。こうした中、トランプ関税は、世界の自動車業界再編を加速させる“起爆剤”となる可能性がある。もし日本メーカーが有効な生き残り戦略を打ち出せなければ、海外企業による買収の標的となる恐れもある。

ギリシャの二の舞か…「現金給付」「消費減税」バラマキ政策が招く“悲惨すぎる末路”とは?
「消費税の減税」で私たちの生活は本当に良くなるのだろうか?財源確保には国債を発行せざるを得ないが、国債増発は金利上昇を招き、住宅ローンの金利上昇を招くだろう。中小企業の経営悪化、倒産の増加も心配だ。何より最大の影響を受けるのは、政府の利払い負担だ。利回りがその国の成長率を上回り始めると、雪だるま式に利払い費用が増えて財政赤字が急拡大することを絶対に忘れてはいけない。今の日本に本当に必要な政策は、いったい何か。

セブン&アイは買収防衛できた?いやいや、また狙われます…前途多難な経営課題とは
セブン&アイへの買収提案をカナダのコンビニ大手が撤回した。しかし、同社の先行きは全く楽観できない。稼ぎ頭の北米コンビニ事業を切り離すなら、海外戦略をどのように描き直すのか。セブン&アイは国内外で小売業界再編の主役にも、あるいは再び買収のターゲットにもなりうるのだ。

営業利益56%減の衝撃…「サムスン電子の苦戦」が突きつけた「AI後進国ニッポン」への警告
米エヌビディアの時価総額が史上初となる4兆ドル(約588兆円)を突破した。韓国SKハイニックス、半導体ファウンドリーの台湾TSMCの業績も好調だ。一方、サムスン電子は減収減益でファウンドリー事業は赤字続き。明暗を分けるのがAIへの対応だ。他方、日本企業のAIへの意識は低く、このままではAI後進国まっしぐらである。どうすればいいのか。

任天堂の業態転換は経営戦略論のよいケーススタディーといえる。その歴史を振り返ると、(1)経営者が自社の守備範囲を事前に絞らなかったこと、(2)長期の視点に基づいた世界経済の展開への適応、(3)才能の重視――の三つが浮上する。

物価高対策で「給付金」と「減税」の2択しかない日本人を待ち受ける「もっと深刻な生活苦」
7月20日に参議院選挙が迫る中、日本経済の本当の課題を突き詰めて考えたい。「バラまき」とも批判される政府の給付金などではなく、日本経済を根本から良くするための課題解決が求められるはずだが、それは何か。

日産の国内販売140万台→47万台に激減!「買いたい車がない」状態でホンハイと協業してもBYDに勝てるのか
日産自動車が台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と電気自動車(EV)での協業を検討していると報じられた。また、中国を低価格EVの輸出拠点にする想定もあるという。トランプ関税の逆風も吹きすさぶ中、日産の再生に残された道は、他社との協業しかないだろう。問題は、エスピノーサ新体制がそれを決断できるかだ。

日本製鉄が漏らした“苦し紛れ発言”、3兆6000億円のUSスチール買収で背負った「大きすぎる代償」とは
日本製鉄は株主総会で、買収したUSスチールの経営について、株主から「米政府に手足を縛られるのではないか」と質問されると、「米政府に経営を牛耳られるなら、今回の案件はやらなかった」(橋本英二会長)と応じたと報道されている。果たして日本製鉄は割高な買収コストを回収できるのだろうか。
