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正露丸に次ぐ成長の柱「クレベリン」で
世界を目指す大幸薬品の勝算

週刊ダイヤモンド編集部
2010年7月2日
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 “ラッパのマークの正露丸”のスローガンで知られる大幸薬品(大阪府)。6月29日付けで、柴田仁社長は会長に退き、実弟の柴田高副社長が社長に就任した。勤務医の経験を持つ異色の新社長は、正露丸を中心とする主力の医薬品事業に次ぐ新事業の育成に邁進してきた。

 新事業とは、二酸化塩素ガスが空気中に浮遊するウィルスや細菌、カビを取り除く除菌・消臭剤「クレベリン」シリーズを主体とする感染管理事業である。2009年度は新型インフルエンザの流行でクレベリンの特需が発生。「一時は品切れ状態」(都内のある薬局)という人気で、売上高は医薬品事業の8割超にあたる39億円にまで急伸した。その結果、連結売上高は前期比44.7%増の88億円、営業利益は同178.3%増の25億円を記録した。

 高社長は、「他社製品の主成分である安定化二酸化塩素と、当社が特許を持つ二酸化塩素とはまったく別物。しかも、当社製品はガス濃度を調整することで、効果と安全性が担保されている」と、競合品に対するクレベリンの優位性について絶対の自信をみせる。

 もっとも、昨年度の特需の反動から、今年度の感染管理事業の売り上げは21億円とたちまち半減する見通しである。これほど売れ行きに差があると、製造ラインや在庫のコントロールが難しく、全社業績へのインパクトも大きい。今後の課題は、売上高の振れ幅を平準化することだ。

 打開策は複数考えられる。全体の2割に留まっている業務用の需要を掘り起こすことや、スティックタイプなど形状の多様化とともにウィルス予防や消臭など用途の広さを訴求することなどだ。海外への拡販についても、すでに販売中の香港に加え、テストマーケティング中のマレーシアや、販売代理店を選定している台湾、中国といったアジア地域、北米へと準備が整いつつある。これらの施策によって“重ならない波動”を増やし、平準化と成長を両にらみしている。

 主力である正露丸は止瀉薬で52%のシェアを握るものの、売上高は横ばいの状況だ。正露丸の主成分は抗生物質のなかった時代に“初めての抗菌剤”と言ってもいい。そしてクレベリンの主成分、二酸化塩素は次世代の消毒薬といわれた成分だ。「当社には、コアエッセンスである殺菌・消毒分野で最古といえる成分の製品と最先端の製品があることを、もっと世界に広めたい。その思いがあったからこそ東証一部に上場もした」と高社長は力を込める。まずは、“ファーストステップ”(高社長)として、全社売上高100億円の達成を目指す。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柴田むつみ)

 

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