河野太郎デジタル相Photo:JIJI

健康保険証を廃止してマイナンバーカード(マイナカード)と一体化する「マイナ保険証」では、「河野大臣が、マイナカードの普及を焦るあまり、保険証廃止の時期を早めてしまった」と自民党議員は嘆く。だが、消費者庁担当大臣でもある河野氏の指示により、新たな事案でも悲鳴が上がっている。今秋施行予定の「ステマ規制」である。(イトモス研究所 小倉健一)

10月施行予定の規制は
ステマそのものを禁止行為に

 広告であることを隠して宣伝する「ステルスマーケティング」(ステマ)の規制について、消費者庁担当大臣である河野太郎氏は、2022年12月27日の記者会見で、景品表示法に基づく新たな告示でステマを禁止行為に指定することを明らかにした。

 現行の景品表示法では、「優良誤認表示」「有利誤認表示」を禁止している。すなわち、商品やサービスが、実際のものよりも著しく優良であると誤認させたり、著しく有利であるよう誤認させたりした場合、規制の対象となる。だが、今後は「ステマである」というだけで規制できるようになるわけだ。

 同日まとめられた「ステルスマーケティングに関する検討会 報告書」では、下記のような実態が示されている。

●業界全体でみれば、広告主の中には、ステルスマーケティングを行いたがる広告主もおり、そのような広告主と契約をする広告代理店もいるのが現状。(広告代理店)
●インフルエンサーの投稿について、問題がないかを全て確認したところ、100件のうち、20件程度の割合でステルスマーケティングと思われるような投稿が存在した。(広告代理店)
●レビューサイトにおける不正レビューの募集がSNS等で公然と行われており、ECサイト、グルメサイト等では、不正レビューが行われている実態がある。(有識者)

 非常に生々しい実態が報告されているが、同報告書によれば、ステマには大きなインセンティブがあるようだ。

●「広告」である旨明示されていない広告(純粋な感想や口コミと思わせる広告)と、「広告」である旨明示されている広告を比較すると、やはり「広告」である旨明示されていない広告(純粋な感想や口コミと思わせる広告)の方が一般消費者を誘引し、売上につながることは多い。(広告代理店)
●広告宣伝を行うインフルエンサーによっては、ステルスマーケティングによって、大手ECサイトで一気に売上ランキングで20位程度上がることや、売上が数倍程度になるなど、大きな広告効果がある。景品表示法で規制されていない以上、広告主にとってはステルスマーケティングを行う大きなインセンティブになる。(PR会社)
●フォロワーが1万人程度のマイクロインフルエンサーと、数十万人のインフルエンサーでは、広告主が支払う広告費用にかなり大きな違いが出てくる。予算が少ない広告主は、マイクロインフルエンサーを活用し、広告効果を最大限発揮しようとしてステルスマーケティングを行う可能性は十分にある。(PR会社)

 消費者にしてみれば、「ステマ」はもっとも許せない行為であろう。行政として「ステマ」か否かをきちんと整理しておき、悪質なものについては取り締まるのが責務だ。

 しかし、である。

 河野大臣率いる消費者庁が進めている「ステマ規制」(10月1日施行予定)は、内容が明らかにズサンであり、不公平だ。