世界投資へのパスポート
【第407回】 2016年2月29日公開(2017年11月17日更新)
バックナンバー 著者・コラム紹介
広瀬 隆雄

景気に左右されない米国の防衛関連銘柄に注目!
売上総額6.4兆円につながる米空軍60年ぶりの
次世代主力爆撃機開発契約を受注した企業とは?

<今回のポイント>
1.60年ぶりに米空軍の主力爆撃機が交代する
2.ノースロップ・グラマンがその開発契約を落札した
3.防衛関連の契約は一度獲得すると長年売上が見込める
4.このプログラムはゆくゆく6.4兆円規模になる可能性がある
5.景気に左右されない銘柄を探しているのなら検討に値する

60年ぶりの主力爆撃機開発契約を受注、
最大6.4兆円の契約になる可能性も

 現在、米国が使用している主力爆撃機はB-52です。これは60年も前に開発された古い爆撃機で、アメリカ国防総省は、これを新しい機種に入れ替えることを望んでいます。

 その次期主力爆撃機開発契約を巡る入札が去年行われたのですが、今日紹介するノースロップ・グラマン(ティッカーシンボル:NOC)が落札しました。

 請負業者の選定に際しては、価格だけでなく、技術力、過去の実績、納期を守れるかどうか? などのポイントが考慮に入れられます。ノースロップ・グラマンはB-2ステルス爆撃機を開発・納入した実績があり、それが有利に働いたと思われます。

 今回の入札で敗退したロッキード・マーチン(ティッカーシンボル:LMT)はアメリカ国防総省の決断を不服とし、選定のやり直しを訴えていましたが、先々週、それが正式に却下され、ノースロップ・グラマンの勝利が確定しました。

防衛産業では業者に選定されると
数年から数十年にわたって安定的な売上が見込める

 さて、株式市場の投資家の目線から、防衛産業が魅力的な理由は、ひとたび業者に選定されると、数年から数十年に渡って、比較的安定的な納入が見込める点にあります。

 もちろん納入した製品に性能や構造上の大きな欠陥があり、プログラム自体が縮小、ないしはキャンセルされる場合が無いとは言えません。しかしそうでない限り、長年に渡って確実に売上を見込むことができるのです。

 なお今回ノースロップ・グラマンが落札した次期主力爆撃機開発契約は、あくまでも開発契約であり、量産契約ではありません。つまり新型機をデザインし、実際にそれを完成させるところまでが契約の範囲なのです。

 量産体制に入る際には、また別の契約で、他の業者と仕事を分担することになる可能性もあります。

 次世代主力爆撃機の契約は、どのくらい大きくなる可能性があるのでしょうか?

 現時点では1機の値段は643億円と試算されています。アメリカ国防総省は80機から100機分の予算を確保したいとしていますから最大で6.4兆円ほどになるわけです。当然、議会の承認が必要になります。

 米国はここ数年安定的に経済が成長しているので、国家予算の一斉削減などの切詰めは、もはや必要ではありません。2016年の防衛予算は66兆円でした。2017年度もその水準が維持される見込みです。

 つまりマクロ経済の面からは防衛予算へのプレッシャーは余り存在しないということです。

ノースロップ・グラマンの売上の80%超は米国政府
一株当りの売上も右肩上がりに伸びている

ノースロップ・グラマンは1929年にリロイ・グラマンによって設立されたグラマンと、1939年にジャック・ノースロップによって設立されたノースロップが1994年に合併して出来た企業です。

 グラマンはアポロ計画の月面着陸モジュールを製作した会社です。

 現在、同社の航空機部門は無人偵察機グローバル・ホーク、F/A-18(スーパー・ホーネット)などを作っています。

 同社はまた次世代レーダー・システムでも定評があります。これは電子システム部門に分類されます。

 3番目の部門は情報システム部門で、ここは主にコマンド&コントロール・システムを製作・納品しています。

 それぞれの部門の営業マージンは、下のグラフのようになっています。

 通常、防衛産業の利幅は政府の方針によって厳格に管理されています。従って余り儲かり過ぎるとダメですし、逆に不健全なほどの不採算プロジェクトも少ないです。

 同社の顧客は米国政府が8割を占めています。

 下は一株当たりの業績です。

 DPSは一株当たり配当、EPSは一株当たり利益、CFPSは一株当たり営業キャッシュフロー、SPSは一株当たり売上高を示しています。

 もし皆さんの中に(世界経済の見通しが今後悪化した場合でも、それに影響されにくい銘柄は無いか?)と思案している人がいるのなら、ノースロップ・グラマンは研究に値する銘柄だと思います。

【2017年10月1日更新!】

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