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あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

クビを賭けた“革命”か甘い蜜の“とりまき”か?
「タダ乗り社長」に苦悩の選択を迫られる勤勉社員

河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長],渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第6回】 2010年8月4日
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「新しいベンツが欲しいからもっと働け」
身勝手なタダ乗り社長にどう対処するか?

 もう10年近く前、京都に住んでいたとき、懇意にしていた割烹の板さんと女将から、プライベートで聞いた話である。

 「今朝、社長の訓示があってね。『最近うちの店の売り上げが伸びておらん! これでは俺は新しいベンツに買い替えられないじゃないか。』だって。あいつ、大っ嫌い! もう2年以上店に顔出してもいないくせに、売り上げの数字しか見ないんだから!」

 第5回の記事で紹介した「社長がフリーライダーである」ケースだ。ちなみに、このお店の切り盛りはこの2人だけ。板さんの一流の腕、女将のアットホームな接客、リーズナブルなお値段で、地元のみならず、全国にファンのいる店だった。

 もちろん、彼らは前述のようなことを店でお客に愚痴るようなことはしない。あくまで、プライベートの付き合いの場で、つい私に話してしまっただけだ。

 現場では、顧客満足を高める努力を怠らなかった。富山の漁港から鮮魚を直送してもらうようにし、日本酒もできるだけ試飲して料理に合うものを常時10種類以上仕入れており、良い食材やお酒が入ったときには必ず常連さんに連絡を入れていた。

 それらは、すべて板さんと女将が自主的に行なっていた。そういった努力も評価しない社長が「ベンツを買い替えられない」とのたまっては、2人が怒るのも当然だ。

 フリーライダー経営者にどう対処するか。これはとても難しい問題だ。なぜならそこには「二次的ジレンマ」という問題が存在するからだ。

 第2回の記事で、フリーライダー問題の背後には「社会的ジレンマ」という構造があることを述べた。社会的ジレンマとは、皆が協力して全体の利益を生むべきときに、自分は協力しないで他の者の協力に「タダ乗り」する方が得になるという状況である。

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河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長]

ワトソンワイアットを経て、「人と組織のマネジメント研究所」(株)道(タオ)を設立。ベストセラーとなった『ニワトリを殺すな』をはじめ、『デビルパワー エンジェルパワー』『育ちのヒント』(共に幻冬舎)など著書多数。慶応丸の内シティーキャンパス客員ファカルティー。

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

いつになったら報われるのか――。熾烈な競争に晒されたビジネスマンは疲れ切っている。そんな彼らに強い負の感情を抱かせるのが、職場で増殖中の「タダ乗り社員」(フリーライダー)だ。タダ乗り社員が増える背景には、企業の制度やカルチャーが変化し、組織に矛盾が生じている側面もある。放っておいてはいけない。ベストセラー『不機嫌な職場』の著者陣が、タダ乗り社員の実態と彼らへの対処法を徹底解説する。

「あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場」

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