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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

阿久根市長の暴走止まるか?
4ヵ月ぶりの議会開会と市長リコールの署名運動

二元代表制と地域主権を脅かす専決処分の乱用。阿久根市長の暴走が呼び込みかねない中央集権の強化

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第9回】 2010年8月25日
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 「縦覧制度があるため、署名に二の足を踏む方がたくさんいます。小さな町なので、署名したことがわかってしまうと心配しているのです。しかし、リコール成立には自信を持っています」

 こう語るのは、「阿久根市長リコール委員会」の川原慎一委員長。議会を招集せず、専決処分を乱発する竹原信一市長に対し、「モラルやルールに反する市長の言動は許せない」と、阿久根市民が立ち上がった。9月17日までの1ヵ月間で有権者の3分の1(約6700人)を上回る8000人分の署名を集めようと、受任者が猛暑の中、2人1組となって戸別訪問を展開している。

 一方、議会無視の市政運営をエスカレートさせていた竹原市長も新たな動きを見せている。警察の裏金問題を告発した元愛媛県警の仙波敏郎氏を専決処分で副市長に任命した。その仙波氏の進言を受け、懲戒免職(一審で処分取り消し判決が出る)にした市職員を職場復帰させた。

 さらに、鹿児島県知事から地方自治法に基づく是正勧告を2度にわたって受けながらも拒んでいた臨時議会の招集についてだ。一転して招集を決定し、25日に議会が開会されることになった。阿久根市で市長と議員が議場で対峙するのは、何と4ヵ月ぶり。どのような論戦が展開されるのか、いまや国民的な関心事とさえなっている。

 竹原市長と議会の対立は、市長の市議時代から始まっている。市役所改革と議会改革を訴えて市議となった竹原氏は議員の政務調査費の不正使用を問題視し、議場内で浮いた存在となった。「議員の日当(費用弁償)制の廃止条例案」や「手数料値下げ条例案」などを議員提案したが、ことごとく否決された。議員視察旅行を「無意味でムダだ」として参加せず、問責決議を突きつけられた。竹原氏は「議会には本当の議論は一切ない。すべて談合で決めている」と、多数派議員が支配する議会への不信感を強めていった。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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