平等院(宇治市)の「砂ずりの藤」平等院(宇治市)の「砂ずりの藤」 写真提供:平等院

桜に瑞々しい青葉が芽吹き、山吹、つつじ、藤、牡丹、杜若(カキツバタ)、皐月(サツキ)など、さまざまな花が咲き継ぐ季節となりました。これからゴールデンウイークにかけて出かけたい、とっておきの花名所をご紹介します。百花繚乱の京都散歩をお楽しみください。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)

まずは「松尾大社」の山吹と「梅宮大社」のつつじから

 平年より1日遅く、昨年より2日早く開花となった今年のソメイヨシノ。花冷えで、4月の半ばまで楽しむことができた場所も多くありました。1カ月にわたる桜シーズンのフィナーレを飾る仁和寺の御室桜も先週末に満開を迎え、4月下旬にははらはらと舞い散る桜ふぶきが見られることでしょう。

 この季節の京都は、さまざまな花めぐりがおすすめです。桜からバトンを受け取って、山吹、つつじ、牡丹、藤、杜若、皐月、紫陽花と咲き継いでいきます。

 見頃を迎える順にご紹介してまいりましょう。阪急嵐山線「嵐山」駅の一つ手前にある「松尾大社」駅から西へすぐ、上賀茂神社・下鴨神社の賀茂社と共に、皇城鎮護の社として歴史を紡ぐ松尾大社へ。「まつおたいしゃ」ではなく、正しくは「まつおたいしゃ」と読みます。創建は平安京遷都より早い701(大宝元)年。秦氏ゆかりの社で、治水をつかさどり、酒造りの神でもある大山咋神(おおやまくいのかみ)をおまつりします。

 毎年4月中旬から5月初旬にかけて、約3000株もの一重や八重の山吹が、参道や境内を流れる一ノ井川のほとりに咲きこぼれます。今年の満開予想は20日(日)ごろとのこと。5月5日(月)まで半月にわたり「山吹まつり」が開かれており、限定の御朱印も授かれます。昭和の名作庭家・重森三玲の遺作となった「松風苑」もお見逃しなく。「曲水の庭」「上古の庭」「蓬莱の庭」という3つの庭園があります。

 松尾大社の後に訪れるなら、桂川に架かる松尾橋を渡って東へ徒歩15分の梅宮大社(右京区)がいいでしょう。第10回では花菖蒲の名所としてご紹介したお社で、橘氏の氏神として平安初期から現在地にあります。おまつりしている大山祇神(おおやまずみのかみ)は酒解神(さけとけのかみ)として、日本最古の酒造の神でもあります。

 社名にちなむ梅の花をはじめ、3000坪の回遊式の神苑には椿、つつじ、杜若、紫陽花ほか四季折々の色彩が移ろいます。東神苑の咲耶池の周囲などにはおよそ400株の霧島つつじが植栽されています。真紅の花と緑の松とのコントラストが、ハッとするほど鮮やか。池に映る花影にも風情があります。北神苑では、4月中旬から久留米つつじが、4月下旬からは平戸つつじも見られます。神苑には皐月も植栽されていますが、こちらはひと月遅い5月下旬から6月上旬にかけて見頃となります。

 霧島つつじといえば、阪急京都線「長岡天神」駅から徒歩10分の長岡天満宮(長岡京市)も有名。樹齢約170年、100株ほどのキリシマツツジの花で八条ヶ池の中堤が真紅に染まります。

松尾大社(西京区)松尾大社(西京区)では山吹が一ノ井川のほとりを黄金色に染める