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社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

「返品特約」を逆手に取るモンスタークレーマー
数百人の反社会的勢力が牙を剥く恐怖!!
あなたの会社は本当に大丈夫か?

小川真人 [ACEコンサルティング株式会社 代表],白井邦芳 [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]
【第8回】 2010年9月1日
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骨までしゃぶる知能犯の脅威

 「オイ! この桃の件。そろそろいいだろ。一発かましたれや!」マンションの一室で、男女が携帯電話で何やらわめいている。桃の件で上の者から指示された若い男が、携帯電話に手をかけて番号を押し始めた。

 電話を受けたのは食品を扱う通販会社Aのお客様相談室。担当者は突然のお客様の要望に困惑する。電話をかけてきた男は、12個入りの岡山の高級な甘い桃を購入したという。しかし、本日12個目を食べ始めたが、いずれも甘くなかったとして、支払った全額を返還するよう要求してきたのだ。理不尽な要求のように見えるが、「返品特約」を逆手にとった新たな方法である。

 時を同じくして、化粧品の通販事業を行うB社のお客様相談室に一人の女性から問い合わせの連絡が入る。化粧水を使用してきて、もう底をつく状態にもかかわらず、今さらながらに「注文したのは、化粧水ではなく化粧クリームだった」と白々しく苦情を述べている。やはり、「返品特約」を利用した返金請求だった。

 一般的に通信販売にはクーリングオフの制度はない。「返品特約」が付帯されているか、商品に隠れた瑕疵(傷や欠陥)がない限り、原則として返品の対象とはならない。彼らは、「返品特約」が付帯されている通信販売業者を狙っては、返品の対象となる事柄を偽装し、事業者に要求する。その対応を観察し、彼らにとって「良いカモ」であるかどうかを見定めている。

 「そこのリストの頭にある業者。D社っていったかな。あそこはやめとけ! 最近、警察のOBが入ったという噂がある。それよりE社だ。あそこはいいぞ! がっつり儲けさせてもらえ!!」

 返金要求で手応えをつかみ、対応が甘いと見るや、一斉に攻撃する。しばらくは返金で許してやるが、次第にエスカレートし、歯が折れた、お腹が痛くなった、大切な商談に行けなかったと、賠償金を要求するようになる。一度食いつかれたら、何百人もの仲間から骨までしゃぶられることになるのだ。

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小川真人(おがわまひと) [ACEコンサルティング株式会社 代表]

公認会計士、公認不正検査士、日本法科学技術学会正会員。慶応義塾大学商学部卒業後、1986年、ピートマーウィックミッチェル会計士事務所(現在のKPMGあずさ監査法人)に入所し、会計監査・リスクマネージメント業務に幅広く従事。2003年より2008年まで、(株)KPMG FASにて日本における不正調査サービスの責任者(パートナー)として、不正会計調査、経営者不正調査、従業員不正調査、個人情報流出事件調査など、多様な不正調査やリスクマネージメント業務を提供。2008年4月より、ACEコンサルティングを設立して独立。

白井邦芳(しらい くによし) [ACEコンサルティング株式会社 エグゼクティブ・アドバイザー]

AIU保険会社及びAIGグループ在籍時に数度の米国研修・滞在を経て、企業の危機・不祥事・再生に関するコンサルティングに多数関わる。2350事例にのぼる着手案件数は業界屈指。2009年から現職。リスクマネジメント協会評議員、日本法科学技術学会正会員、経営戦略研究所外部専門委員、著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)等がある。


社長!事件です イザという時に思考停止しないための「危機管理」鉄則集

海外で発生するテロや暴動そして天災、果ては脅迫から社内の権力闘争の暴露まで。現代の企業はまさにリスク取り囲まれて活動している。ことは生命にかかわることが多いにもかかわらず、依然として、日本企業はこの種のリスクには鈍感。イザというときに、じたばたしないためには、準備こそがすべて。具体的な事例を基に危機管理の鉄則を公開する。

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