それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術 #1Photo:PIXTA

長谷工リフォーム、建装工業などマンション大規模修繕工事の最大手業者に、公正取引委員会が談合の疑いで一斉検査に入った。マンション管理業界の長年の悪習についにメスを入れた形だが、実はマンション管理組合を狙う魑魅魍魎はこれだけではない。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#1では、巨額のカネが動くタイミングで、内外から狙われるマンション管理の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

マンション大規模修繕工事業者大手が根こそぎ
談合で公取委検査対象に!

「仕事で使っているパソコンとスマホを全て押収された」(検査に入られた企業関係者)、「現在進んでいる大規模修繕工事業者の選定を、取り急ぎ全部ストップした。万が一クロの会社に頼んでしまったら、理事会の責任問題になってしまう」(マンション管理組合理事)――。

 普段は比較的地味なマンション管理業界が、春の嵐に揺れている。3月4日、公正取引委員会はマンション大規模修繕工事大手である長谷工リフォームほか20の工事会社に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を行ったのだ。同月31日には、大規模修繕工事業界トップの建装工業や、清水建設のグループ会社であるシミズ・ビルライフケアも検査対象に加わった。検査対象となった企業は25社に及ぶと言われている。大手のマンション修繕工事会社がほぼ根こそぎ公取委検査を受けた格好である。

 マンション大規模修繕工事での談合は「かれこれ数十年以上、日常的に行われ続けてきている。業界全体に広がっていると言ってもいい」とさくら事務所のマンション管理コンサルタントの土屋輝之氏は断言する。

 そして全国のマンション管理組合を狙う敵はこうした外部だけではない。大規模修繕などの機会を狙い、モラルハザード的な怪しい動きで組合を食い物にしようとする内なる敵もいる。現状では違法ではないが極めて悪質なこのやり口は、首都圏の大型物件でもたびたび横行しているのだ。手口が巧妙なため、あなたのマンションでも知らないうちに行われている可能性すらある。さらに、地方では「マンションの乗っ取り」とでも呼べるような深刻な事態も起こっている。マンション管理を取り巻く魑魅魍魎の実態を見ていこう。