
4月から失業者が増加するかもしれない。雇用保険法改正により、失業手当を受給するのに2カ月以上待機しなければならなかったのが「1ヵ月」に短縮になる。また、「資格を取得などの講座を受講開始」していると、たった「7日後」にすぐに受給できるようになる。この制度は、企業にとってはリストラを促進するのに都合がいい。制度を機会にリストラを加速させる可能性もある。従業員にとっては、雇用の流動化を進めようとする制度に振り回されて退社することになったり、その挙句、転職先が見つからないという状況に陥る可能性もある。今回は雇用保険法改正の課題を明らかにし、従業員が取れる対策について考える。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
失業手当を受け取るまでが短縮に
デメリットはどこにある?
4月に改正された「自己都合離職者の給付制限の短縮」によって、もともと失業手当を受給開始するまでの待機期間が2カ月以上+7日間(手続き期間)だったのが、原則1カ月+7日間に短縮されることになります。つまり、1ヵ月分の貯金があれば、その後は失業手当を受給しながらゆっくり仕事を探すことができるというわけです。
制度利用ケースを元に、従業員にとってのメリットやデメリットを考えてみましょう。
井内淳さん(仮名・56歳)は、昨年、急に仕事を失いました。失業手当は2カ月後に受給される予定でしたが、それまで待てません。日中は親の介護の時間が増えたため、これまでのWEBデザイン会社でのキャリアを捨て、夜に働けて今までと同じ給与がもらえる警備員に転職、そのまま3年が過ぎたところでした。