「大阪都構想」を掲げる橋下徹・大阪府知事が来春の統一地方選に大勝負をかける。代表を務める「大阪維新の会」が大阪市議選などに候補を擁立し、過半数確保を目指す。展開によっては自ら大阪市長選に打って出る可能性も。既成政党と激しいバトルを始めた橋下知事の狙いを追う。
「大阪の停滞の原因は今のシステムにある。狭いエリアに都道府県が二つあるようなもので、全体の指揮官がいない。財布も別々。府と市を一つにまとめます」
大阪府の橋下徹知事は9月15日、代表を務める地域政党「大阪維新の会」の政治資金パーティでこう声を張り上げた。その後ろに整列した面々が身じろぎもせずに耳を傾けていた。来春の統一地方選の維新の会1次公認候補82人(現職49人、新人33人)である。
橋下代表は「民主主義の戦争は選挙、その主役は皆さんです。統一選でぜひ勝たせてほしい」と会場に詰めかけた約2000人に訴えた。続いて維新の会の応援団を任じる作家の堺屋太一氏がマイクを握り「司令塔を一つにし、大阪が明治維新の長州藩に。日本を変える先兵になる」と檄を飛ばした。
大阪市を解体し、特別区に再編する「大阪都構想」を掲げる維新の会が発足したのは4月19日。大阪府議や大阪市議など30人が馳せ参じたが、ほとんどが自民党籍を残したままの「半脱藩」組。維新陣営はその後、勢力を伸ばしたものの自民党との軋轢も増大した。公認候補を発表するパーティ直前に、自民党から離党勧告を突きつけられた。半脱藩組は離党を決意し、古巣と決別。既成政党との全面対決となった。
維新の会は府議会と大阪市議会、それに堺市議会での過半数確保を目標に掲げており、新人候補のさらなる擁立を進めている。その主戦場となるのが、大阪市議選だ。