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皆にいい顔するオバマ政権の「説明ベタ」が招いた
米中間選挙“民主党苦戦”の必然と米国の分裂
――コロンビア大学 デヴィッド・エプスタイン教授

2010年11月2日
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米国時間の11月2日、いよいよ中間選挙が実施される。改選の対象は、上院(任期6年・定数100)が37議席、下院(任期2年・定数435)が全議席であり、オバマ大統領の任期前半に対する事実上の“信任投票”となる。現在は上下院ともに民主党が過半数を握るが(上院59議席・下院255議席)、下馬評では特に下院で共和党の躍進が予想されており、アメリカでも政権と議会で「ねじれ状態」に陥る可能性がある。むろん、大統領の所属政党と議会の多数派政党がずれることは珍しくない。だが、洋の東西を問わず、ねじれ状態では、大胆な政策が実行されにくい。“チェンジ”を掲げて誕生したオバマ政権はいっそう輝きを失うことになるのか。コロンビア大学政治学科のエプスタイン教授に、中間選挙の行方と苦境に立つオバマ政権の問題点を聞いた。

 今回の中間選挙の結果を私なりに予想すると、上院では民主党が6~8議席を失い、下院では共和党と民主党が五分五分で競り合うといったところだ。

デヴィッド・エプスタイン
(David Epstein)
コロンビア大学政治学科教授。ハーバード大学で応用数学を修め、スタンフォード大学ビジネススクールで政治経済学の博士号を取得。ゲーム理論と統計モデルを政治組織の分析に用いることを専門とする。大統領選挙とメディア、選挙区見直し、行政組織、各省間の権限委任、インターネット選挙など、研究対象は広い。著書に『Delegating Powers(権限委任)』(コロンビア大学出版)がある。世界銀行、CIAの政治不安タスクフォースなどの顧問・コンサルタントを務めた経験もある。

 最終的に結果がどちらに転ぶかは、民主党がこの2年間で行ったことに対して米国民が実際どれほどうんざりしているのか、あるいは「本来問題を作り出したのは共和党じゃないか!」とどの程度責め続けているかによるだろう。

 中間選挙絡みで(主に民主党の敗色が濃厚である大きな理由のひとつとして)語られることの多いオバマ大統領の支持率低下は、もっと大きな文脈でとらえる必要がある。(各メディアの調査とも就任時の70%台から40%台に)下がったとはいえ、一期目の中間選挙を迎えた当時のクリントン大統領やレーガン大統領の支持率に比べればいまだに高い。しかも、この両大統領が二期目を勝ち取っていることを忘れてはならない。オバマ大統領の人気に陰り→中間選挙での民主党の敗退→オバマ政権のレームダック(死に体)化という議論には私はくみしない。

 別にオバマ大統領の肩を持つわけではないが、客観的に見て、彼は(景気刺激策、金融規制改革、医療保険改革など)任期前半でそれなりに大きな仕事をいくつもやり遂げたと思う。問題はそのことが国民にうまく伝わっていない、業績がメッセージとして正確に理解されていないことだ。

 大統領が自分の考えを自身で明確に伝え、そして戦略的な調整を経てホワイトハウスの側近たちも同じことを世間に伝えるというのが政権維持にとっては重要なことだ。それによって、国民は大統領が何をしてきたのかを正しく理解することができる。

 ところが、オバマ政権の場合はいつも大統領ひとりがしゃべっていて、しかもやっていることがきちんと伝わっていないばかりか、共和党に政権運営をどれほど妨害されているのかもきちんと説明していない。共和党は大統領就任の第一日目に宣戦布告をして妨害を開始して以来、何事につけてもオバマ大統領の障害になっているのに、それに対して本気で反撃しないとはその寛容さには驚かされる。 

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