トランプの人事は「不適切にもほどがある!」
池上 いよいよ米国で第2次トランプ政権が発足します。2024年11月の大統領選挙以降、国際社会を揺るがせているのがトランプ次期政権の人事です。
増田 私が米国で取材したアラブ人団体は、元は民主党支持なのですが、バイデン政権のイスラエル支援に反発し、「バイデン、ハリスにお仕置きだ!」と叫び、民主党支持をやめたと言っていました。「トランプ政権になったらどうするのか」と聞いても「お仕置きが先だ!」と言っていたのに、トランプ次期政権の人事を見て顔面蒼白、こんなはずではなかったと文句を言っています。トランプ氏は国連大使に親イスラエルのエリス・ステファニク氏を指名していますから。どんな事態が待っているかは、最初から目に見えていたはずです。
池上 日本では「不適切にもほどがある!」というドラマのタイトルの略称「ふてほど」が流行語大賞に選ばれましたが、まさに「ふてほど」人事の数々です。例えば、国防長官候補にはピート・へグセス氏。トランプ氏御用達のFOXニュースの司会者を務めていましたが、女性への性的暴行の疑いで捜査を受けていました。
増田 報道によれば「人種や性別の多様性を推進する施策に関わった米軍高官を全て解任しなければならない」として、自分や大統領の意に沿わない軍の高官を処分する意向を示しています。
池上 司法長官も「ふてほど」で、当初はマット・ゲーツ元下院議員が指名されていました。ところが未成年の少女の買春と薬物乱用疑惑を指摘され、辞退。現在はフロリダ州で司法長官を務めたパム・ボンディ氏が指名されています。
増田 ゲーツ氏は下院議員として倫理委員会での審査に掛けられていたさなかでした。それでも司法長官への指名を強行した理由は一体、何なのでしょう。