1月8日、大手外食チェーンのサイゼリヤが決算発表を行いました。日本でデフレの勝ち組として輝いたサイゼリヤですが、現在の稼ぎ頭は中国市場です。実は、本番はこれからです。サイゼリヤが中国で大ブームになるのは「3年後」だからです。その理由を分析します。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
勝ち組サイゼリヤの決算が「増収減益」
今後の鍵を握るのは中国?
サイゼリヤの今期第一四半期の決算が発表されました。増収減益です。ただ減益幅は前年比でマイナス1.7%とそれほどは大きくはありません。一方で計画されていた予算比で見るとマイナス8.4%の利益目標未達で大きく計画を外してしまっています。
この発表を受けて翌日(9日)の株価はマイナス7.3%と大きく下げ、終値は4970円(前日比マイナス390円)となりました。
実は私はサイゼリヤの決算に注目していました。中国経済の失速によって、中国依存比率が高いサイゼリヤがどちらの方向で決算を終えるのか興味津々だったのです。
サイゼリヤの第一四半期の営業利益は約39億円で、そのうちアジアが約33億円と大半をしめます。アジアの売り上げは3分の2が中国本土で、残り3分の1は香港、シンガポール、台湾です。
そして今回の決算では、その主力の中国本土、すなわち上海、広州、北京でサイゼリヤは営業利益を大きく落としてしまったのです。
「アジアで増益、減益のどちらに振れるか?」、経済評論家の立場から、決算発表前までは半々の可能性があると予測していました。
年末年始の経済番組で何度も取り上げられていたように、2025年の経済の重要なキーワードのひとつが中国経済の失速です。状況としては中間層の購買力が下がっていて、日本の1995年頃のデフレ突入時に経済の実感が近いのです。
デフレ経済が続いた日本ではデフレ時代の20数年の間にサイゼリヤやユニクロ、ダイソーといった価格破壊型のイノベーション企業が勝ち組になりました。
その意味で、今の中国は安くて高品質を武器にする小売業・飲食業にとって新たなビジネスフロンティアだと思われています。その文脈でサイゼリヤの決算に注目していたのです。