地方銀行の業績を左右するのは、貸し出しや手数料ビジネスだけではない。債券や株式などの運用力も、時に地銀の命運を決する。そこで、特集『新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組』の#19では、3期半分の財務データから地銀98行の運用総合利回りを算出し、ワーストランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
海外金利上昇以降に含み損が拡大
3期半の地銀の運用利回りを算出
地方銀行の業績を左右するのは、企業や個人への貸し出し、金融商品の販売や企業へのコンサルティングなどの、いわゆる“本業”だけではない。有価証券運用の巧拙も、地銀の命運を決めるボトルネックになり得る。
その象徴が、200億円の公的資金返済を13年延期した山形県のきらやか銀行だ。
外国債券への依存度を強めていた同行を直撃したのが、2022年以降の海外金利上昇だ。金利上昇によって含み損が大幅に拡大し、21年3月末にマイナス26億円だった「その他有価証券評価損益」は、2年後の23年3月末にマイナス176億円まで悪化。24年3月期に国債等債券関係損益で81.7億円の実現損を計上した。
そこでダイヤモンド編集部は、海外金利が上昇し始めた22年3月期から直近の25年3月期中間決算までの3期半で、地銀の運用力を分析した。各決算期で5点ずつ配分し、20点満点で点数化。点数の低い順に並べ、ワーストランキングを作成した。
対象の銀行はメガバンクを含む都市銀行と地銀、第二地方銀行、埼玉りそな銀行、あおぞら銀行の合計103行で、財務データはQUICKの協力を得て、「QUICK Finer Compass」から取得した。
本稿で対象としたのは、地銀98行だ。果たしてワースト1位となったのはどこか。直近3期半の地銀の運用パフォーマンス“通信簿”を、次ページで公開する。