「『CBHDプレーヤーは中国プレーヤー市場全体の売上の30%を占め、CBHDの販売量がブルーレイを超えた。年内に普及台数はブルーレイを超えるだろう』と専門家。中国で満足せず世界に売っていく」(北京商報、09年8月)、「中国ブルーレイ時代 国美電器、新科(※プレーヤーメーカー)強力なる提携でCBHDをプッシュ」(Yesky、09年8月)――。
中国発のニュースでは、東芝らから譲り受けたHD-DVD改め「CBHD」が、中国における次世代光ディスクの中で最も売れているように報じられている。
CBHD誕生の背景には、中国の工場がDVDプレーヤーやDVDディスク(正規版)を生産すればしただけ、日系メーカー主体のDVDフォーラムにライセンス料を支払うという状況を何とか打開したい、少しでも外国企業にお金が流れる現状を変えたい、という中国政府の意向がある。
中国は、2003年には「EVD」、今年の年始には「NVD」と、次世代光ディスク規格をリリースしてきたが、今回のCBHDの登場も同様の理由だ。近年中国は光ディスク規格のみならず、第三世代携帯電話の「TD-SCDMA」や、デジタルホーム系規格「閃聯(ホームネットワーク規格)」「Diiva(インターフェース規格)」の国際標準化、製品化を積極的に行っている。
新華書店のブルーレイビデオ売り場 |
さて最初に紹介したニュースだが、その報道内容に反して、実際中国の市場を見ると、ブルーレイを扱う店のほうが圧倒的に多い。正確にいえば、ブルーレイビデオソフトを扱う店のほうが、CBHD用ソフトよりもずっと多いのだ。
書店チェーン「新華書店」や、ウォルマートやカルフールといった外資系スーパーでは、海賊版に混じって正規版のCDやDVDソフトも売っているが、最近はブルーレイビデオも販売している。正規版のみを徹底して販売する上海の米国系家電量販店Bestbuyでも、ブルーレイビデオを販売している。一方でCBHD用ソフトを売っている店は、中国在住の筆者自身いまだ見たことがなく、オンラインショッピングサイトくらいでしか販売を確認できていない。
しかし中国発のCBHD人気のニュースが、嘘八百を並べ立てたというわけでもない。なぜならハードウェアの販売について、ブルーレイと比較しているからだ。