【最終回】 2009年02月03日
「キレる」子供の脳は、どうなっているのか?
──脳の中にある「アクセル」と「ブレーキ」の関係
人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。
些細なきっかけで暴発
最近、少年少女の事件が起きるたびに「キレた」という言葉が登場します。キレると瞬間的に頭に血がのぼり、そのまま暴力的な行為に走ってしまうのです。
キレるのに明確な理由がない場合もあります。人間関係や仕事が思うままにならず、精神的にイライラした状態に追い詰められてしまう。その結果、ほんの些細なきっかけで不満が瞬間的に暴走、暴発してしまうのです。
子供たちの場合、親や学校での管理に息苦しさを感じてキレることもあれば、イジメによってキレることもあります。それまではなんとか耐えていたものの、限界に達するとプツンと糸が切れるように暴発するのです。
では、その「キレる行為」と「脳」との間に、どんな関係があるのでしょうか?
アクセルとブレーキ
のバランスが崩れたとき・・・
医学的には、キレる行為と脳との関係ははっきりとは解明されていません。ただし一説によれば、脳の複数の機能が衝突してショート し、脳そのものが混乱したからだと考えられています。
その主役になるのが、人間の3つの脳です。
人間の脳は、もっとも奥に動物が生きていくための大脳基底核と脳幹があり、その周囲に大脳辺縁系が、さらにその外側には大脳新皮質があります。
ただし、大脳基底核と脳幹は大脳辺縁系に含まれるとみることもできます。さらに、大脳新皮質は人間で特に発達した脳であり、知性や思考といった高度に精神的な分野を担当している器官なのです。
通常、3つの脳はそれぞれの役割を分担し、微妙にバランスをとっています。
動物としての本能を担う大脳基底核と脳幹が暴走しようとすれば、理性を担う大脳新皮質がこれを抑えるといった具合です。セックスへの欲望が激しくなったとき、常識がそれを抑えようとするのもそれにあたります。いってみれば、3つの脳は“アクセル”と“ブレーキ”の役割を果たしているのです。
そのアクセルとブレーキがうまくみ合っていれば、人間の精神状態はバランスを保ち、行動も常識的な範囲におさまっています。悩みや苦しみを抱えながらも、多くの人間はこのようなバランスのとれた状態にあるのです。
しかし、そのアクセルとブレーキが変調をきたしたとき、精神状態はアンバランスになり、ふとしたきっかけで瞬間的に脳内の秩序が崩壊してしまいます。アクセルは踏みっぱなしになり、しかもブレーキが壊れている状態になってしまうのです。それが一般に“キレた”状態だと推定されています。自分でも自分の暴力が止められないのは、このためなのです。
<今回をもちまして当連載は終了いたします。ご愛読ありがとうございました>
Special Topics
バックナンバー
新着トピックス
- News&Analysis
- 苦境の地方空港に追い討ちも? 火種くすぶる「ハブ空港」議論の真実
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 日本のためにならない「FREE」礼賛論を疑え!
- 追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
- 大ヒット商品が続々「特許切れ」へ。 2010年以降、もう「新薬」は生まれない!?
- チャンスを逃さない! 今どき「住活」事情 By SUUMO(スーモ)
- エコポイントがなくても人気は絶大? 想像以上に盛り上がる「エコ住宅」ブーム
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 手足のひび割れと関節痛が同時に!? 骨の変形をも引き起こす皮膚病の正体
- 献魂逸滴 極上の日本酒を求めて
- 信濃鶴――伊那谷から飛来した「鶴」は高CPで香り高き純米酒
- 経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”
- 人民元切り上げ拒む中国のエゴに、 日本政府はしたたかで賢い対応を
- ツイッター+αのつぶやき企業戦略
- 特別対談!津田大介vs本荘修二(上) ツイッターで伸びる会社、沈む会社
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 金融市場異論百出
- 超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)

- 岡野工業・岡野代表エッセイ
- “神の手をもつ男”岡野雅行氏が日本の物づくりに「常識を捨て去れ」と喝!

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 山元大輔 [監修]
(東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授)
1954年東京都生まれ。東京農工大学農学部卒業後、同大学院農学研究科修士課程終了。理学博士(北海道大学)。ノースウエスタン大学医学部博士研究員、三菱化学生命科学研究所室長を経て、1999年から早稲田大学人間科学部教授。同大学理工学部教授を経て、現在、東北大学大学院生命科学研究科教授。同大学理学部生物学科教授。
この連載について
人間は脳あってこその存在。行動、感情、性格の数々はすべて脳が決めています。「脳」を知ることは、あなたの中の「なぜ?」を知ること。当連載では、脳のトリビアともいえる、意外な脳の姿を紹介していきます。
誰もが知りたい「脳」のことを、図解で解説。右脳・左脳、記憶、IQ、性格、眠りなど、身近な話題で「脳」が見えてくる!「脳のしくみ」の基本と常識をズバリ解説。1470円(税込)
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 2位
- 週刊・上杉隆
- 元秘書として鳩山邦夫氏に苦言を呈す 信念の見えない離党に意味はあるのか?
- 3位
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 4位
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 5位
- 評価が上がる!上司を味方にする技術
- 上司に好かれる話の聴き方、嫌われない質問の方法
Recommend 話題の記事
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 鳩山首相「発言のブレ」正当化に疑問を呈す
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 山崎元のマルチスコープ
- 官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ
- ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座
- この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは
- SPORTS セカンド・オピニオン
- 大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。




