株式や為替相場が乱高下するなかで、着実に拡大している分野がある。成果報酬型インターネット広告のアフィリエイトだ。
アフィリエイトの仕組みはこうだ。例えば、書評を掲載している人気ブログがあるとする。ブログ運営者は書籍を紹介したうえで、「購入はこちらから」と外部のネット書店へのリンクを掲載する。
そして、ブログの読者がリンクの後に書籍を購入すれば、書籍代金の数パーセントがブログの運営者の収入となるのだ。書店などの広告主が直接アフィリエイトの仕組みを提供している場合と、広告代理店が仲介している場合がある。
かつて、アフィリエイトは「主婦が副業で月間数百万円稼ぐことが可能」などと紹介されブームになったことがあった。
しかし、大手アフィリエイト広告代理業者が株式市場上場後に、業績が伸び悩んだことで市場全体が頭打ちになったという印象を与えたのか、ブームは下火になったかのように思われていた。
ところが、現在、株式とFX(外国為替証拠金取引)の口座開設の分野でアフィリエイトが急拡大しているのだ。
日本には相場が下がったときに株を買う「逆張り」志向の株主が多いのか、市場が急落する中、ネット証券には口座開設の依頼が殺到している。また、急激な円高により、FX口座も開設が増加中だ。
加えて、他の分野に比べて、収入が大きい。洋服や書籍の場合、購入金額の数%(多くは一桁)しか、アフィリエイト運用者には収入とならないが、証券口座は資料請求で数百から1000円程度、FXにいたっては口座開設すれば8000円程度になることもある。
そのため、現在、ネット証券やFXに関する人気ブログや業者比較サイトの運用者のアフィリエイト収入が急増しているのだ。
例えば、FXに関する人気ブログ「南アフリカランドとトルコリラを買い続けるFXブログ ときどきメキシコペソとNZドル(^_^;)」を運営している岩崎聖侍氏は「10月のアフィリエイト収入は9月の1.5倍で、500万円の売上だった」と明かす。
株式やFX口座に強いアフィリエイト広告代理「アクセストレード」を手がけるインタースペースによると同社の顧客には「月間数百万円稼ぐアフィリエイターが数十人いて、1000万円以上稼ぐアフィリエイターもいる」(高橋正浩・PCアフィリエイト事業部)というから驚きだ。
もちろん、誰でもすぐに簡単に数百万円が稼げるわけではない。
「アフィリエイトの成長期は終わり、安定期に入ってしまった可能性もあるので、数年前のようにちょっとやればすぐに数百万円稼げるようになるというのは、なかなか難しいかもしれない」(岩崎氏)
岩崎氏のブログやその他の証券会社やFX業者の比較サイトは、情報が豊富で更新頻度が高く、自らの経験を元に執筆しているため説得力があるなど、それぞれ内容が充実している。
つまり、アフィリエイト収入だけで生計をたてるためには、知識と経験、時間と労力が少なからず必要になるのだ。
しかし、うまくいかなかったとしても、損が出ないということは確かだ。その点では、株やFXよりも、株やFX口座へのアフィリエイトのほうが賢明なのかもしれない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介 )