一連の損害保険業界の構造的課題について、有識者会議を経て金融審議会が開催される事態となり、損保業界のビジネスの在り方が大きく変わろうとしている。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」2024年12月28日・25年1月4日新年合併特大号に掲載した、東京海上日動火災保険の城田宏明社長のインタビュー拡大版をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 藤田章夫 ※インタビューは2024年11月中旬に実施)
大規模な保険代理店に対して
課される「上乗せ規制」
──大規模代理店に対する規制が厳しくなります。
日本損害保険協会の会長としてお答えしますが、損保代理店の業務品質を担保していくために、保険会社による適切な管理や指導が重要になってきます。その際には、代理店の規模や営業的な側面にかかわらず、保険の募集体制を再構築し、実効性を確保していくことになります。
また、保険会社による指導を補完する仕組みとして、損保協会が主体となって「第三者評価制度」の検討に着手しています。
──大規模な代理店の中でも特に大きな代理店に対して「上乗せ規制」が課されることになりました。
特に規模の大きな代理店の自律的な内部統制を強化するために、追加で体制整備を求めていくという現在の方向性については異論ありません。
もっとも、実務として実行できるかどうかが重要です。保険会社と代理店と損保協会が一体となって、実効性のある仕組みづくりを行い、業務品質の向上に取り組んで顧客本位の業務運営の徹底を図っていきたいと考えています。
──損保代理店は全体で約15万店あります。どのように全体の底上げを図っていきますか。
損害保険各社は、個社として業績向上を果たすだけではなく、大規模代理店に対する施策など、信頼回復のために業界全体として取り組まなければならない多くの課題に直面している。東京海上日動火災保険の社長であり、損害保険協会会長を務める城田宏明氏は2025年に向けて、これらの課題にどう取り組むのか。次ページで語ってもらった。