石破茂首相石破茂首相 Photo:Anadolu/gettyimages

政権基盤が脆弱な石破首相の命綱は
「国民の信頼」と少数野党だけ

 毎月上旬から中旬にかけて、大手メディアが弾き出す「内閣支持率調査」。筆者が「石破政権への支持率が何%くらいか」以上に注目しているのが、「石破政権を支持する」と答えた人たちの「石破政権を支持する理由」である。

 たとえば、昨年12月6日から3日間、NHKが実施した調査では、「石破政権を支持する」と答えた38%の人たちの中で、実に3人に1人が「人柄が信頼できるから」と答えている。

 この傾向は他の調査でもそれほど変わらない。読売新聞が12月13日から15日に実施した調査でも、「支持する理由」として、5人に1人が「首相が信頼できる」と回答している。

 裏を返せば、昨年10月の衆議院選挙で敗北し、少数与党で政権運営を余儀なくされている石破茂首相にとっては、国民の信頼を失ったとき、「退陣」を余儀なくされるということになる。

 この先、石破首相が信頼を失くしかねない局面は早々にやってくる。その要素を挙げれば、以下の3つに集約される。

(1)「政治とカネ」をめぐる企業・団体献金の取り扱い
=「禁止はせず透明化を図る」程度でとどめると国民の信頼度はガタ落ちになる

(2)国民民主党との「103万円の壁」見直しに関する調整
=「178万円」ではなく、「123万円への引き上げ」のままだと国民は失望する

(3)日本維新の会との高校授業料無償化に向けた調整
=大学授業料や給食の無償化までいくのか、財源はどうするのかも問われる

 いずれも、衆議院で来年度予算案の採決時期を迎える2月中旬から3月上旬がヤマ場になる。政府・自民党としては安易に野党案を丸呑みすることはできず、かといって、ある程度、妥協しなければ、予算案が通らない厳しい局面になるのは間違いない。

 石破首相からすれば、信頼度の高さと、国民民主&維新の野党2党との協議だけが命綱だ。対応を誤れば、3月危機、あるいは参議院選挙を前にした6月危機の、いわゆる「サブロク危機」が現実味を帯びることになる。