【第80回】 2010年03月12日
米金融関係者が鳩山政権に抱く4つの懸念と違和感
コンファランスに出席するために、今週はニューヨークに滞在しています。そこで、ついでに以前からの友人であり、大手有名ファンドに在籍するアジア担当のエコノミストたちと、日本の経済や政策について本音で意見交換したところ、以下のような非常に厳しいことを言われました。
日本のトータル・パフォーマンスを
米国金融関係者はこう見ている
●日本郵政の事実上の再国有化は、まったく理解できない。かつ、税収が少ないにも関わらず、ここまで歳出を膨張させるのも、理解に苦しむ。民主党政権はどこまで財政赤字を拡大させるつもりなのか?
●菅財務大臣が日本銀行にプレッシャーをかけているが、一体どこまで真剣なのか? また、日銀がそれに応じる可能性はあるのか? 景気やデフレのことを考えると、金融緩和は正しい政策であるが、一体それがいつ実現するのか懸念している。
●菅財務大臣が消費税増税に言及し始めたが、正気なのか? 景気回復とかデフレ克服を実現する前に消費税を増税したら、より一層需給ギャップを拡大させ、税収もさらに減少するだけである。まずは景気を回復させることが最優先ではないのか?
●今年の春に日本政府は成長戦略を発表するようだが、正しい説得力を持つ内容になるのか?そこで日本経済の将来の成長性を確信できるような正しい戦略を打ち出せなかったら、金融市場はいよいよ本格的に日本を見捨てることになる。
●最近、日本のある大手金融機関がIRに来たが、将来の成長性をまったく感じることができず、そこの株を買いたいとも思わなかった。日本の国債についても状況は同じである。日本の政府や企業は、そのように見られているという自覚はあるのか?
以前からの友人なので、遠慮なく厳しい意見を言ってくれたのですが、これらの意見が、今の日本に対する海外の率直な見方を象徴しているのではないでしょうか。
日本の中にいると、消費税をどうするとか、日本郵政や道路公団がどうしたとか、どうしても個別の論点ばかりに目が行きがちになります。しかし、海外の目から見ると、日本という国のトータルとしてのパフォーマンスはどうかという点が、一番重要なのです。彼らと意見交換していて、この当たり前の事実に改めて実感するとともに、自分も知らず知らずのうちに、「視野が狭くなっていたなあ」と反省しました。
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著者プロフィール
- 岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。
この連載について
メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。
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