先週書いたように、日本郵政の人事はひどいの一言に尽きますが、この問題に関する鳩山総理の答弁には呆れるしかありません。“脱官僚”は口だけだったのかと思わざるを得ません。せっかく民主党は正しい方向性を打ち出していたのに、2ヶ月も経たずにそれが終焉するとは、残念でなりません。

言い逃れにもならない答弁

 日本郵政の新社長に元大蔵省事務次官の斎藤次郎氏を起用した人事には、各方面から激しい批判が集まっていますが、それに対する鳩山総理の答弁は、レベルが低過ぎます。言い訳にもなっていません。

 例えば、10月21日の記者会見では、「元大蔵官僚だが、退官後14年間は民間で勤務していたから、天下りや渡りには当たらない」と発言しています。しかし、斎藤氏がそれまで所属した東京金融先物取引所は2004年に民営化されたのであり、それ以前は大蔵省が所管する外郭団体だったのです。“退官後14年は民間で勤務”というのは、明らかに事実に反しているのではないでしょうか。“民間”である取引所に勤務したのは5年程度です。

 また、11月2日の国会答弁では、「私は財務省にも調べたが、すでに(財務省への)影響力はない方だ」と述べていますが、そんなことをどうやったら調べられると言うのでしょうか。仮に問い合わせたらどこの組織だって、影響力ないといい加減に答えるに決まっています。幼稚園児レベルの言い訳です。

 そして、11月4日の答弁では、「(天下り根絶は)省庁があっせんしてはならないということ」、「(日本郵政の人事は)役所によるあっせんではない。日本郵政は全株を国が保有している。国としては誰かを選任する必要がある。あっせんと選任は違う」と述べています。

 これほどひどい答弁はありません。第一に、大臣は省庁のトップであり、その役所の一員です。組織と別物ではありません。第二に、国が全株を保有している組織ならいいのでしょうか。それなら、政治家が選ぶなら、特殊法人や独立行政法人への天下りはすべてOKということになります。第三に、“あっせんと選任は違う”とまでなると、もう意味不明です。理屈も何もありません。