
米国の中小メーカーの一部では、新たな関税の支払いを回避したい企業からの注文が増加しており、関税が長期的にプラスになるとの期待が高まっている。
ドナルド・トランプ米大統領が導入した関税は、世界の貿易と米経済に混乱をもたらした。だがこの新ルールのおかげで、輸入品に対する自社製品の価格競争力が長らくなかったほど高まっているというメーカーもある。
「大忙しだ。(イリノイ州)シカゴと(オハイオ州)クリーブランド(の工場)はどちらも週7日・24時間休みなしで稼働している」。製造工具メーカー、ジャーゲンズのジャック・シュロン社長はそう話す。
両工場をフル稼働している理由は、輸入関税の支払いを回避したい顧客から注文が入っていることと、1年半前から防衛産業からの需要が増加していることだという。
関税は米製造業に再び活力をもたらすと主張していた支持者にとって、これは朗報だ。
これまでのところ、米国への事業移管や工場新設の計画を発表した世界的メーカーはほぼ皆無だ。また一部の製造業調査は、展望がそれほど明るくないことを示している。ダラス地区連銀の4月のテキサス州製造業調査によると、関税への懸念が景況感を悪化させていることが報告された。
トランプ氏の関税は変更される可能性が高い。シュロン氏をはじめ多くの製造業者は、関税が続くかどうか分からないため、新規採用や生産ラインの拡大には慎重だと話す。