
昨年1月の制度変更で大きな注目を集めたNISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始めたという人もいるかもしれない。将来のことを考えるなら、NISAと併せてぜひ活用しておきたいのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)だ。実はこのiDeCo、非常に「もったいない使い方」をしている人が一定数いる。どんな人なのか。なぜ“もったいない”のだろうか。(確定拠出年金アナリスト 大江加代)
iDeCoに入っているのに損している
残念な人たちが80万人もいる!?
2025年3月末時点で、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数は363万人に達しました。
NISA(少額投資非課税制度)に比べればまだ少ないですが、それでも300万人を超えています。
iDeCoはその名の通り「年金」、つまり老後資金の準備を目的とした制度です。本来の目的に沿って使えば、老後の心強い味方になり得るものです。
筆者は「確定拠出年金アナリスト」として、制度開始当初から約25年間、iDeCoの改正や普及に関わってきました。そうした中、非常に「もったいない」利用をしている方々の存在に気付きました。
その数、およそ80万人。今回はこの“残念な人たち”に焦点を当ててみたいと思います。
iDeCoには現在、掛け金の積み立てを行っている「加入者」が約363万人います。
一方で、積み立てをせず、すでにある残高の運用指図だけをしている「運用指図者」も101万人に上ります。
この中には、すでに60歳を過ぎて受け取りを始めている人も含まれますが、60歳未満で、積み立てが可能にもかかわらず行っていない人が約80万人もいるのです。
この「積み立てできるのにしていない」運用指図者の方々は、主に3つの点で“もったいない”といえます。