公務員の危機#1Photo by Yuji Nomura

公務員の人材流出などにより、役所の仕事や教育現場などが危機にひんしている。特集『公務員の危機』の#1では、優秀な人材を確保するために欠かせない公務員の「賃上げ」のキーパーソンである加藤勝信財務相に、待遇改善の必要性を聞いた。賃上げの原資となる国家予算を差配する現在の立場だけでなく、大蔵省職員、初代内閣人事局長、厚生労働相、働き方改革担当相などを務めた加藤氏は何を語るのか。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

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非正規公務員の問題は教職員などで深刻
「同一労働同一賃金」が基本だ

――米国による関税率アップを避けるための交渉などで、政府の交渉力に対する期待が高まっています。一方、中央省庁や都道府県庁などは、人材獲得に苦労している実態があります。大蔵省職員のご経験も踏まえ、近年の役所の変化をどう捉えていますか。

 先日、4月に入省した職員と話をする機会がありました。それぞれが問題意識を持って財務省を志望し、国のために頑張ろうと考えている部分は、自分が大蔵省にいた頃と何も変わっていないという思いを強くしました。

 私が入省したのは46年前です。当時は残業時間が長いことを「俺はこんな働いた」みたいに感じていました。今は働き方改革の時代です。仕事をしながらプライベートの時間を確保していけるように、ふさわしい対応をしていく必要があります。

――かつては、東京大学在学中に司法試験に受かり、成績がトップという人材が中央省庁に入るのが当たり前でした。現在は、むしろ外資系コンサルティング会社などの方が人気です。

(国家公務員の)人材確保はかなり難しくなっています。ただ、人材が活躍できるフィールドが広がったという見方もできる。(企業に就職する)皆さんも含め、全員の頑張りが結果的に国家や世界のために資すると思いますが、「直接、国のために仕事をしたい」と考えている人たちに来てもらえるよう、(中央省庁の仕事を)魅力あるものにすることが非常に大事です。

――そのためにも待遇と働きがいの改善が急務です。人事院の人事行政諮問会議が3月、キャリア官僚の待遇を改善するため「従業員1000人以上」の大企業と比較して決めるべきだ、との最終取りまとめを行いました。公務員の待遇改善についてどう考えますか。