12月9日と10日の2日間に渡って行われたJリーグ合同トライアウト(大阪・長居スタジアム)に、中山雅史(磐田=今季所属・以下同)、久保竜彦(広島)らの大物が参加したことが話題になった。
合同トライアウトとは所属クラブと来季の契約を交わさなかった者、つまり戦力外と見なされた選手が他のクラブ(JリーグだけでなくJFLや地域リーグを含む)の監督や強化担当者の前で実力を示す場だ。いわばサッカー選手にとっての再就職試験である。
元日本代表やチーム主軸も
数多くトライアウトに参加
今オフ、契約更改に至らなかった選手はJ1・J2合わせて231人。この中には他クラブへの移籍が決まった選手や契約切れを機に引退を決断した選手もいるが、大半が現役続行を希望しているもののプレーする場が決まっていない選手。彼らは日本サッカー協会の移籍リストに載り、クラブからのオファーを待つことになるわけだが、その数はトライアウト開催時点でJ1が70人、J2が122人。計192人にものぼる。
このリストを見ると、ゴン中山や久保以外にも第一線で活躍してきた名前が数多く見られる。日本代表経験者ではDFの服部年宏(東京V)、波戸康広(大宮)、茂庭照幸(FC東京)、茶野隆行(磐田)、鈴木秀人(磐田)、FWの播戸竜二(G大阪)、黒部光昭(福岡)らがいる。代表経験はないが、新潟や京都、大分でチームの中心として活躍したMF鈴木慎吾、98年の高校選手権得点王として将来を嘱望されたFW林丈統(京都)もいる。
大不況下の今、Jリーグクラブの経営はどこも苦しく、戦力として計算できても年俸が高い選手は切らざるを得ない状況だ。今年のリストには、そんな現状が表れているといえる。この移籍リストに載った選手の多くがトライアウトに参加したわけだ。
トライアウトは試合形式で行われる。参加選手をポジションごとに分け、ランダムにいくつかのチームを作る。そのチーム同士が30分ハーフの試合を行い、そこでのプレーが獲得するかどうかの判断材料になる。
選手にとっては試練の場だ。プレーを見つめるスカウトたちの目は気になるし、生き残りを賭けた場という重圧もある。といって急造チームだから連携は取れない。いいところを見せようと思っても、ボールがまわってこないことも少なくない。与えられた60分はあっという間に過ぎ、自分本来のプレーを披露できずに終わることも多いという。