
93歳の巨人OB・広岡達朗が、昨年セ・リーグ優勝の巨人を斬る。エース・戸郷翔征、4番・岡本和真に続き、坂本勇人へも辛口コメント。話題は守備にまでおよび、歴代最高の一塁手の名前を挙げた。本稿は、広岡達朗『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
エース戸郷のピークはあと3~4年
このままでは肩かヒジを痛める
阪神の岡田彰布監督は巨人の勝因を「菅野智之やろ」と言うが、横浜OBの評論家・佐々木主浩のように、優勝の原動力に菅野と戸郷翔征を挙げる意見も多い。
「これだけ貯金を作れるピッチャーが2人いるのは大きいですよね。(中略)長い回を投げて貯金を作ってくれるピッチャーですからね。リリーフ陣もこの2人が投げてくれると休めますよね」
「佐々木主浩氏『これだけ貯金を作れるピッチャーが2人いるのは大きい』巨人、菅野と戸郷の2人で貯金16」BASEBALL KING、2024年9月30日 https://baseballking.jp/ns/452405
24歳の戸郷は3年連続となる12勝(8敗)を挙げ、防御率1.95はリーグ5位。完投4、完封3は阪神の才木浩人と並んでトップで、最多奪三振のタイトルも手にした。
先発ローテーションを外れた菅野が格下投手を相手に勝ち星を稼いでいた前半戦から安定していた戸郷の投球は、エースにふさわしいものだった。
身長187センチ・体重84キロの華奢な体からスピンの利いたキレのいい速球と、フォークボールやスライダーなどの変化球をコーナーに決める制球力も磨きがかかっているが、私は重心が高く、手だけで投げたあと体が突っ立っている投球フォームは感心しない。
あの投げ方であれだけ精度の高い投球ができるのは、よほど投手としてのセンスがいいのだろう。しかしこのままではいつか肩かヒジを痛め、いまのような投手生命のピークはあと3~4年しか続かないだろう。できることならへその下に重心を置いて、下半身の力を正しく使う投げ方に改善したほうがいいが、戸郷はこの投げ方しかできないのだろう。
そして少年野球や中高生は、戸郷の投げ方を真似てはいけない。
実績のない若手投手の成長は
内海投手コーチの指導の成果
巨人は戸郷と菅野だけで勝ったわけではもちろんない。セ・リーグのチーム別投手成績を見ると、巨人は防御率2.49でトップ。2位は阪神の2.50、3位が広島の2.62だった。