老後に「幸せになる人」と「不幸になる人」月たった1万円で差がつくワケ【FPが解説】写真はイメージです Photo:PIXTA 

物価高が続いているというのに、1カ月の実質消費支出は減少している。特に70代になると消費内容がこれまでとはすっかり変わり、その減少も顕著になっていく。高齢になると幸福度にも差が出やすくなり、そこには結婚やお金の有無は関係しない。今のうちから70代の消費の特徴を押さえて、幸せなシニアライフを手に入れよう。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)

70代から大きく変わる「消費」
2人暮らしの平均支出は1カ月20万円台

 総務省の家計調査(2024)によると2人以上の世帯の消費支出は月平均30万243円で、前年比1.1%減少しています。交通費や通信費、食費も減少しています。

 そんな中、2人以上世帯の消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%となり、43年ぶりの高水準となりました。このように家計の中で「食費」が大きな負担になっていますが、70代になるとこの現象はさらに顕著になっていきます 。

 具体的にみてみましょう。1カ月の消費を年代別にみると、50代と60代はさほど変わりません。50代前半は月約36万円、50代後半は約35万円、60代前半は約31万2000円、60代後半は31万円です。

 それが70代になると急に減少します。70代前半は27万円、70代後半に至っては25万6000円なのです  。

 本格的な年金生活に突入する70代にもなると、各項目で消費支出は減少します。現役時代は自分で稼いだ給与を自分へのご褒美などで買い物に使いがちですが、年金は公的なもの。自分で払い込んだ金額とはいえ、その年金だけで生活しないといけないという意識のもと、質素な生活をしようという気持ちになります。

 年金では足りないと痛感する人が増えているものの、それでもそれに見合った支出に減らしているわけです。であれば、70代を見据えてもっと若い今のうちにできることもあるのではないでしょうか。

 まずは70代がどんな支出をしているのか、具体的にみてみましょう。