「自分の仕事に足りないことをめちゃくちゃ言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

部下の仕事ぶりを見て、ダメなリーダーは「アドバイス」をする。いいリーダーは何をする?Photo: Adobe Stock

ダメなリーダーがやっちゃうこと

 人は、すべてを知ることはできませんし、自分が知らないことを他者は知っているのです。

 だから、他者からの情報は重要です。
 組織においては、部下やメンバーからのボトムアップによって、情報が集まります。

 ただ、何が情報で、何が情報でないか
 それを見分ける必要があります。

 上司と部下とのコミュニケーションでは、何が「ノイズ」かを見極めましょう。

「先方に提案するメールは、こういう長めの文章でよろしいでしょうか?」

 という話を受けると、つい相談に乗ってしまいたくなります
 新入社員であれば、最初の確認は必要かもしれませんが、いつまでも確認すべき事案ではありません。

 部下のメールを確認して、「過去に自分がやってしまった失敗」を見つけて、

「この方法はよくないよ」

 と言ってしまうのは、よくあることです。

 しかしこれは、部下の失敗の経験を奪ってしまう行為です
 もちろん、リスクの大きい提案であれば、上司の許可が必要です。

 しかし、日常の業務においてなら、それは現場に任せる
 ある程度の失敗を経験させる

 部下からの相談を「ノイズ」として判断する場面もあるのです。

「ノイズ」はスルーせよ

「集客のためのイベントを定期的に開催しています。タスクが多くて忙しい上に、集客効率の悪いものも多発しています。対応していただけませんか?」

 という情報が来るとします。
 この場合、「タスクが多くて忙しい」というのは、個人の感想なので、ノイズとしスルーすべきことです

 大事なのは、「集客効率の悪いイベントがある」ということです。
 この場合なら、

「ある一定の集客が見込めないイベントは中止すること」

 という意思決定ができます。
 もちろん、それ以外のメリットがあるのであれば、イベントを続行させる意思決定もあるでしょう。

 いずれにせよ、感想ではなく「事実」と向き合う必要があるのです

 職場では、つねに多くの情報が行き交います。
 感想レベルのノイズは、スルーする
 決定的な事実があるものは、意思決定者が責任を持って対処する

 その2つでしか問題解決はしないのです。

「相手を説得しようとしない」というスタンスでいることのほうがメリットは大きいです。

 自分が向き合うべき「事実」だけを見る
 時間も労力も、リソースは限られています。

 いいリーダーは、そこの問題解決に集中すべきなのです。

「感情」を切り離そう

 たとえば、組織の中の「営業」と「開発」の部門間で会議をおこなうとします。
 よくあるのが、両方の部長や課長を集めて、大勢での意思決定をおこなってしまうことです。

 ただ、人数が多くなると、「ノイズ」は増えてしまいます。その場合、

「2つの部門長の上司が意思決定者となり、会議の参加者は部長のみに絞り、課長以下からは情報提供のみをしてもらう」

 というように運営するといいでしょう。同じものを見ていても、「立場によって意見が変わる部分がある」ということも受け入れておかないといけません。

 それぞれの責任が異なるから、意見が異なるのは当然です。
 その立場に応じて判断をするということです。

 相手の言っていることが納得できないなら、ワンクッション、「この人は、どの立場にいるのか?」を想像することは可能です。

 その一呼吸により、「感情」を切り離すことができます
 物事には、さまざまな捉え方があります。

 その人の「主観」が絡んできます。その主観の裏側にある「事実」をあげなくてはいけない。
 そうした事実が意思決定の判断材料となるのです。

・個人の主観を明らかにする
・数字を押さえる

 など、曖昧な表現を特定するようにしましょう。
 根拠になっていない情報に対しては、「本当に?」「なぜ?」「何回?」ということを問う。

「なぜ?」と言われたほうも、初めてちゃんと考えるきっかけになったりするものです。そうやって疑ってかかりましょう。

(本稿は、パーフェクトな意思決定の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。