撮影:宇佐見利明 |
日本の株価が安いのは、上場企業が一般株主を無視した姿勢を取り、それがルール上可能となっていることにも原因がある。
たとえば、第三者割当増資。発行済み株式数が増加することで、1株当たりの価値が下がり、既存の株主の利益が損なわれる。普通の非上場会社がやるならわかる。だが、日本では上場会社でも簡単にやってしまう。
上場会社も普通の会社の一部であって、問題ないという考え方がある。確かに、日本の会社法上は問題ないとしても、これは世界の常識では考えられないこと。だから、海外の投資家は日本の上場企業への投資にはリスクがあるとして買いを控える。
問題はほかにもある。親会社が子会社を吸収する際、子会社側の少数株主の発言権はないに等しい。ここでも、一般の株主の意見は無視されるわけだ。これらのリスクさえなければ、日本株を買いたい外国人投資家はたくさんいる。逆にいえば、株価が安くなっている今こそチャンスなわけだ。そうなれば、日本の株価はもっと上がるはずだ。
米国では、上場企業に課される法律は別に存在する。日本においても取引所が、会社法より進んだ上場企業向けのルールをつくる必要があるだろう。
今年6月に東京証券取引所の社外取締役に就任したのも、自分のできる範囲で資本市場に貢献するのが狙い。日本の株式市場が本来の機能を発揮するためにも、国際的に通用するルールを整備していきたい。(談)
(『週刊ダイヤモンド』編集部 池田光史)