
日産自動車の内田誠社長が退任に追い込まれた。日産の内田誠社長の役員報酬は過去4期分で21億円を超えており、これはホンダの三部敏宏社長の過去3期分の倍額以上だ。業績不振にもかかわらず、日産幹部で高額報酬幹部が続出しているのはなぜなのか。特集『日産 消滅危機』の#27では、過去10期分の日産・ホンダの「年収1億円以上」プレイヤーを公開し両社の賃金体系の秘密に迫る。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子)
エスピノーサ氏が新社長に選出
ホンダとの復縁の条件は?
3月11日、日産自動車は内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)が3月末で退任し、チーフ プランニング オフィサー(商品企画の責任者)を務めるイヴァン・エスピノーサ氏が社長に就任する人事を発表した。
取締役会に先立って開催された指名委員会では、エスピノーサ氏を含めた外国人幹部3人について議論されたが、どの候補も決め手に欠き議論はまとまらなかったもようだ。
内田氏の退任ありきで始まった後継者選びなのに、最後まで内田氏留任の選択肢が残る異例の事態。日産には役員が63人いるので、本来ならばその全員が次期社長の有資格者であるはずだ。だが、日本人幹部は候補に挙がることもなく、積年の課題である経営人材の枯渇を露呈した格好だ。
退任決定後に記者会見に臨んだ内田氏は、「社外のみならず、従業員の一部から信任を得られない状況になった」と語り、再建の道半ばでの退任に「じくじたる思い」と悔しさをにじませた。
それでは、新社長の下で、ホンダとの統合再交渉はあるのか。
ホンダが日産との協議を再開する“最低条件”は、日産が構造改革の覚悟を示すことだ。その有力な施策の一つが、多すぎる役員数と役員報酬にメスを入れることである。
次ページでは、日産とホンダの役員待遇を「社員と役員の年収格差(10期分)」と「年収1億円以上の役員リスト(10期分)」を使って徹底比較した。業績不振にもかかわらず、日産幹部の“左うちわ”ぶりが分かる結果が明らかになった。