
恒例企画「JA赤字危険度ランキング」2025年版の都道府県別バージョンをお届けする。今回は、ランキングを全面刷新。農協を取り巻く経営環境の激変を受け、農協の実力を測る評価指標として、農林中央金庫からの配当減少の影響を加えたのだ。その結果、全国461農協のうち4割強に相当する191農協が5年後に赤字に陥るという衝撃的な結果が導き出された。特集『全国461農協 JA赤字危険度ランキング2025』(全36回)の#4では、宮城県の単位農協の減益インパクトが大きい順に並べた「ワーストランキング」を大公開する。それに加えて、本業の農業事業で稼ぐ農協を評価する「経営健全度」の詳細データを開陳。沈む農協と浮かぶ農協の優勝劣敗が鮮明になった。
全国で191JAが赤字に陥る衝撃試算!
宮城の「JA赤字危険度ランキング2025」は?
今年で6回目となる名物企画「JA赤字危険度ランキング」2025年版の都道府県別バージョンをお届けする。
従来のランキングは、農協の金融2事業(信用事業と共済〈保険〉事業)における将来の減益インパクトを試算したものだった。
今回は、農協を取り巻く経営環境の激変を受けて、農協の実力を測る「評価指標」を大幅に変更し、ランキングを大刷新した。具体的には、農林中央金庫の経営危機が全国の単位農協に与える財務インパクトを加味したのだ。
ダイヤモンド編集部は、三つの減益要因が農協の財務を圧迫すると想定した。
一つ目は共済事業の減益。過去10年の共済事業総利益の減少トレンドから、将来の減益額を算出した。
二つ目は農林中金から各農協への配当の減少だ。これは、農協の信用事業の減益に直結する。
農林中金が公表している配当額は22年度に891億円、23年度に641億円だったが、24年度は無配となる見込み。かつてリーマンショック時にも配当額がゼロになったことがあり、当時の経緯を踏まえ将来の配当額を試算した。
最後の三つ目は、人件費の増額だ。近年、農協は事業の縮小による減益を人件費の削減によってカバーしてきたが、その対症療法にも限界がきている。農協職員の流出を食い止めるため、年間1%の人件費の増加が必要であると想定した。
これらの三大減益要因から、5年後の28年度における全農協の減益想定額を算出したところ、年間1800億円に及ぶことが分かった。
ダイヤモンド編集部は全国461農協の財務データを入手。合計1800億円の減益が全国の農協の財務にどの程度の影響を及ぼすのかを試算したところ、191農協が赤字に陥ることが判明した。
特集『全国農協 JA赤字危険度ランキング2025』では、都道府県ごとに単位農協を減益インパクトが大きい順に並べた「ワーストランキング」を全公開する。
それに加えて、本業の農業事業(農作物の販売事業、資材の購買事業)で稼ぐ農協を高く評価する「経営健全度」の詳細データも開陳する。
金融事業に依存した農協の中には、経営再建が危ぶまれるジリ貧農協が目立つ。そうした沈む農協と、本業重視へ転換した浮かぶ農協との優勝劣敗が鮮明になっている。
では、宮城のJA赤字危険度ランキングを見てみよう。
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