いま、ビジネスの世界で活躍する人にとって、必要不可欠な能力があります。それは、ズバリ「経済を予測する力」、略して「経済予測力」です。

 これからの時代に、なぜ「経済予測力」が必要不可欠なのでしょうか。

 世間の一般的な認識では、日本の企業は海外の企業に比べて、堅実な経営をしていると思われています。ところがそれは、現実とは大いにかけ離れた認識です。いかに緻密な経営戦略を練ったとしても、経済の大きな流れを認識していないために、いまだに大きな失敗を繰り返してしまうケースが後を絶たないからです。

 たとえば、近年の原油安や資源安によって、大手商社をはじめ日本を代表する多くの企業が大幅な業績の悪化に苦しんでいます。経営者やビジネスリーダーたちは、原油や資源の需要と供給について自ら分析することなく、シンクタンクなどのあてにならない専門家に任せてしまったことで、横並びに経営や投資に失敗してしまったのです。

 大企業の経営者やビジネスリーダーのなかには「このタイミングで、その経営判断はないだろう」と疑問に感じるような意思決定をする人が珍しくありません。それは、たいがいのケースでは、経済の大きな流れを認識できていないことに原因があります。

 ただし、経営者やビジネスリーダーが必ずしも経済の予測に長けている必要はありません。企業のなかに経済の流れがわかっている人材が複数いれば、その弱点を補うことができるからです。

 ところが実際には、日本にかぎらず世界中の企業で、経済を的確に分析できる人材がいないという問題を抱えています。現在の混沌とした世界では、企業の大小、年齢や性別を問わず、経済予測力を身につけた人材が広く求められるようになっていくでしょう。