昼はOL、夜は水商売のアルバイト。そうやってお金を稼ぐ若い女性は昔からいた。しかし、バブル期によく言われたような「高級ブランド品が買いたいから」「海外旅行を楽しみたいから」といった理由かといえば、少し変わってきているようだ。2016年の今、彼女たちはなぜ、昼と夜の仕事を行き来するのだろうか。(取材・文/上野哲 編集協力/プレスラボ)
Facebook投稿に変化
派手な生活を送る高校時代の友人
東京都に暮らすAさん(20代女性)は最近、高校時代の友人のFacebook投稿が変わったのに気がついた。以前は投稿数が少なかったのに、ここ最近は週に2~3回のペースで投稿。それも、高級店や人気店での食事や、国内外への旅行の様子が頻繁にアップされている。
多いときは月に3回の旅行。彼女は確か派遣OLのはず。どうして生活ぶりがこんなに派手なのだろう? 久しぶりに会った際に話を聞くと、その友人かおるさん(仮名)はあっけらかんとこう答えたという。
「夜、銀座で働いてるんだ。週3回ぐらい」
昼の仕事が終わるのは17時~18時頃。その後、3~4時間ほど銀座で働くのだという。Aさんも「やってみれば?」と誘われたが、昼の仕事が忙しいため、今のところはその気はない。しかし、かおるさんの「若いうちだけだよ」という言葉に心が揺れることがあるという。
かおるさんはなぜ、昼と夜の両立を始めたのだろうか。話を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「社会人になって半年後ぐらいに、短大時代から付き合っていた彼氏に振られてしまったんです。彼と結婚すると思っていたので、心にぽっかり穴が空いてしまって。平日に仕事が終わってもやることがない。同じ派遣のOLでも実家暮らしの子は習い事をしたりしているけれど、私は実家が地方で一人暮らし。金銭的な余裕がありません。暇な時間があるなら『お金を使うよりも稼ごう』と思って、夜の仕事を始めました」
両立を始めて1年半ほど。収入は明らかにしなかったが、「昼の仕事は手取りで20万円足らず。時給に換算すれば、昼よりも夜のほうがもちろんいいです」と笑う。ただ、夜の仕事で稼いだ金は、すべて貯金にまわしている。
「昼の仕事で稼いだお金は生活費でなくなってしまう。夜の仕事はいつまでも続けられるわけではないので、いざというときの貯金にしています。自分のお店をいつか開くための資金にしているっていう子もいるけど、私はそこまではまだ考えていない」