昨年の年収は何と3億1500万ドル(約260億円)――。オプラ・ウィンフリーは、視聴率ダントツの「オプラ・ウィンフリー・ショー」のホストとして、全米の女性たちを励まし、自己啓発の女王とも呼ばれてきた存在だ。彼女が紹介する本はたちまちベストセラーになり、彼女が試すダイエットはすぐさま人気になるなど、オプラのひとことは女性たちに多大な影響を与えてきた。2008年の大統領選では、オプラの推薦がオバマに大量の票を集めたとも言われている。
ただのタレントでもなく、ショーの司会者でもなく、ビジネスウーマンでもないが、そのすべてで、さらにプラスアルファ。オプラは、メディアを通してまれに見る新しいかたちのセレブのありかたを作ってきたと言える。
そのオプラが、25年続けた「オプラ・ウィンフリー・ショー」を今春降板する。ショーの終了を惜しむ声は続くが、何のことはない、さる1月1日に自身のケーブルネットワーク局を立ち上げたのだ。
ただの地方番組司会者から、自身のショーのホストヘと転身し、さらに独自のテレビ制作会社、映画製作会社を立ち上げ、雑誌も出版するなど、オプラは自分のビジネスモデルの駒を着実に前へと動かしてきた人物だ。この新しいケーブル局で、ウィークデー午後のショーの大人気をどれだけケーブル局に持ち込めるのか、いわば女手一つのセレブのカルトをどこまで進化させることができるのか、メディア界は注目している。
局の名前は「OWN」。「あなた自身(オウン)」という言葉に引っかけたのだろうが、オプラ・ウィンフリー・ネットワークの頭文字である。文字通り、同局は朝から晩までオプラ的番組で埋め尽くされている。
目玉は、『オールスターに尋ねよう』という日曜日夕刻のゴールデンアワーの番組。どんな人々の悩みもすっきりと整理してくれる心理学者ドクター・フィルや、同性愛者の女性ファナンシャルアドバイザー、ハンサムな医師が登場して、視聴者の相談に応じる。すべて超人気のテレビタレントばかりだ。