一つのことを極めるより、優秀な人を結集できるプラットフォームに
ムーギー 引き出しが増えることによって、どのような、他の人がやらないユニークな組み合わせを生むことができるようになりましたか?
武藤 たとえばクリニックを作っていくときに、MBAで学んだことはすごく大事だったなと思っていて。あそこで学ぶことって企業活動で生かすことを目的としていますけど、一人の人間としても使えるなと思ったんですよ。
ムーギー とおっしゃるのは?
武藤 組織マネージメントと自分をマネージメントすることって、結局同じじゃないかと。たとえば“仕事のやり方”という点で言うと……、初めは何でもかんでも自分でやってたんですけど、だんだん範囲が広がっていくと「最終的に自分がやりたいことは何なのか?」ということを思考的に構造化していくようになったんです。
これはある意味、MBAで学んだことの発展形だな、この進化ってすごく面白いな、と思って。それがきっかけとなって、医療業界を離れて、マッキンゼーに行くことになるんですけど。
ムーギー なるほど、表面的に組織に生かすというよりは、自分を進化させるためのツールとして学ばれたと。
武藤 ええ、僕は一つのことを極めるということはあまり考えてないんですよね。さっき言ったように、引き出しをたくさん持っておくことが大事かな、と。そうするとより優れた素材が、その上に乗っかってくると思うんです。
ベースがないのに優秀な人は来てくれないし、万が一来てくれたところで乗せることもできないじゃないですか。だから自分は広く薄くいろんなことを知って分かっておく、それによってより多くの優れた人たちの力を借りることができるんじゃないかと思っているんです。