著名な教育専門家やビジネスリーダーたちが、「リーダーシップ育成の教科書として、目下最良の一冊」と称する『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』。
発売わずか5ヵ月で16万部を突破し、韓国語・中国語・台湾語・タイ語など各国語への翻訳が進むなど、「リーダーシップを伸ばす教育書」として、国際的に注目を集めている。
今回はムーギー・キム氏が、日本GE合同会社代表職務執行者社長兼CEOの安渕聖司氏を訪ねて「一流の育て方」を議論する対談の後編。
人材育成で有名な同社のトップである安渕氏の、「一流の育て方」についての考え方とは?(構成:山本奈緒子)
他人と「競う力」より、「協力できる力」のほうが重要
ムーギー このインタビューの前に、少し社員の方たちに突撃取材させていただき、安渕さんについておうかがいさせていただいたんですけど、とにかく「フラット」「謙虚」という評判を聞きました。自分のことを役職名で呼ばないようにもおっしゃっているそうですが、ご自身ではどういうところを大切にされているんですか?
安渕 ポジションのパワーを自分のパワーと混同しないこと。追い風が吹いて調子がいいことを自分の力と混同しないこと。意識しているのはそこですね。いくら立場が社長であっても、自分の達成の95%は自分のチームによってなされるもの。自分ができることは5%程度と考えると、威張ってなんていられません。
ムーギー そういったリーダー意識はいつ培われたんですか?
安渕 ハーバードのビジネススクールに行ったのが、大きな転機になっていると思います。そのころ私は三菱商事にいたんですが、その器の中では「目立つ金魚」だったわけです。そこで「留学までして俺、イケてるかもしれない」と錯覚してたんです(笑)。
でも、ビジネススクールに行って同級生を見たら、「すごいな、この人は!」というのがゴロゴロいた。そうすると、「彼らと正面から競合して勝ち上がっていくのは考えられない。じゃあどうすればいいのか?」と考えるようになり、そこから「競合するんじゃなくて、この人たちと一緒に働いていけばいいのではないか」という考えに行きついたわけです。
たとえば、「マイクとスーザンとビクラムがいればチームとして最強じゃないか。そしてそういったチーム作りを私ができれば、それが一番の自分の強みになるな」と思ったんです。リーダーとは、決して一番優秀で全部できる必要はないと、気づいたんですよね。