Photo by Masato Kato

──スポーツアパレルの直近の市場環境はどうか。

 全体としては厳しい状況が続いている。スポーツ関連の消費は景気の動向に大きく左右されるからだ。そんななかで、「ザ・ノース・フェイス」ブランドを中心とした当社のアウトドアスタイル事業は好調に推移している。一方、「チャンピオン」ブランドなどのアスレチックスタイル事業は赤字が続いており、業績はまだら模様となっている。

──2010年3月期までの前中期経営計画では、収益力回復のための構造改革に取り組んだ。

 最大の課題だった販売効率の改善については、着実に成果が出てきている。従来は、シーズンの半年前に予測した販売数量をシーズン前に一気に作り込んでいたため、在庫をコントロールできず、処分費用が収益を圧迫していた。

 そこで、店頭販売と在庫の進捗をチェックする月次会議を設置して販売予測の精度を上げる一方、シーズン前の作り込みを減らし、販売動向を見ながら柔軟に追加生産できる体制を構築した。おかげで商品の返品率や値引率が大きく改善した。

──直営店を積極的に拡大している。卸のチャネルと衝突しないか。

 直営店の展開は、卸にとってもメリットがある。卸が求めているのは、確実に売れる商品だ。直営店で先行販売して売れ筋商品をつかんでおけば、卸も最小限のリスクで商品を仕入れることができる。現時点で販売チャネルに占める直営店の構成比は35%だが、中長期的には50%まで高めたい。