日本経団連は、去る1月12日に「新卒者の採用選考活動の在り方について」を発表し、倫理憲章の見直し案を提示した。広報活動の開始時期を遅らせるという点がその中核である。
「広報活動については、自社の採用サイトあるいは就職情報会社の運営するサイトで学生の登録を受け付けるプレエントリーを起点とし、その開始日を学部3年/修士1年次の【12月1日】と定める。それ以前は、インターネット等を通じた情報発信以外の活動は行わず、個人情報の取得も行わない。併せて、【12月1日】より前においては、大学が行う学内セミナー等への参加も自粛することとする。」
この公表に呼応するように、経済同友会は1月21日に「新卒就職採用活動の適正化に関する意見」を発表した。採用選考活動全体を大きく後ろ倒しにするというのが、その提案の骨格である。
●広報活動の開始時期
(現状) 大学3年生の10月~
(是正案)大学3年生の3月以降とする。(修士課程は1年生の3月以降)
●選考活動の開始時期
(現状) 大学4年生の4月~
(是正案)大学4年生の8月以降とする。(修士課程は2年生の8月以降)
今も昔も2点に集約される
採用活動早期化是正の目的
現状の就活の実態を問題視し、学生と企業のより良い出会いのために、新たな方策を打ち出すことには意義がある。また、多くの学生が長期にわたる就職活動に疲弊していることは事実であり、何らかの改革が必要なのは間違いない。しかし、私は、これらの提言に見られるような「活動時期を一律に規定する」という方策には、疑問符をつけざるを得ない。