またヤミ金融業者による生活保護受給者への貸付について、前出・大阪市関係者は、現在、生活保護を受けている市民に向けて、「違法業者からの借り入れならば返済の必要がないものもあるだろう。してしまったものは仕方がない。まずは正直に役所に話してほしい」と呼びかける。そして、次のように語った。

「ヤミ金融業者による貸付は警察マター。本来は、警察にもっと頑張ってもらわなければならないのだが…」

 ヤミ金などのブラックな業者が、支給日の朝に区役所の周りで堂々と“商売”をしている現状がある以上、大阪市生活保護行政の見解や取り組みには異論や批判もあろう。真摯に行政が生活保護受給者の生活の立て直しに取り組んでいるのも、また事実なのだが、十分な効果を上げるにはほど遠い状況だ。

 実は、西成あいりん地区では生活保護受給者の“地位”は決して高くない。「やっぱり歯を食いしばって自活せなあかんのや。この歳でも“保護”受けんと、俺は路上生活で頑張ってんで!」(70歳代のホームレス・日雇い労働者)。

 社会の、いわば「底辺」に置かれてなお、自活するというのは相当な茨の道だ。たとえホームレスでボロボロであろうとも“保護”を受けずに生きている人は、あいりん地区では、どこか尊敬のまなざしで見られるのだという。一方、やせ我慢をやめて“保護”を受け、身を持ち崩さずに暮らしていく人もいれば、保護費を受け取って1時間も経たぬうちに路上でたむろしてタバコを吹かし、花札に興じながら、酒を煽り、近隣の飛田新地へと急ぐ者もいる。

 ヤミ金や貧困ビジネス業者のバックには当然、暴力団がいることだろう。そして、彼らの存在を感じながらも、有効な手だてを打てずにいる行政関係者たち――。生活保護受給日の朝の西成区役所では、「貧困」が引き起こすあらゆる問題が、一堂に会しているかのような光景を目にすることができた。