そもそも、大統領の弾劾を国会が採決する前に首相を交代させるべきであった。しかし、野党間の主導権争いで、後継首相が決まらなかったのであろう。野党の主導権争いは今後、大統領選挙に向けてますます激しくなっていくことが予想される。したがって、あらゆる事柄が綱引きの材料となり、合意形成は極めて困難になる。

 また、与党も朴大統領への弾劾採択で賛成・反対にほぼ2分し、大統領選に向けて政界再編の気運が高まっていくであろう。大統領代行は、与党の支援なく、政治行政をつかさどることになる。

 そうした中で、セヌリ党、共に民主党、国民の党の与野3党の院内代表は12日、弾劾案採択後の国政運営を協議する政府と与野党の協議体創設と憲法改正を議論する特別委員会の国会設置を合意した。15日の開幕が決まった臨時国会で野党は黄大統領代行を揺さぶり、朴氏が進めた政策の変更を迫ることになる。しかし、朴大統領の失職は確定したわけではなく、黄大統領代行は大きな政策変更は行い難いのではないか。また、重要な政策課題は、各党の思惑の違いがあり、このような協議体では決めがたいのではないか。

 結論から言えば、今後、憲法裁が朴大統領の弾劾の可否を決定するまでは韓国の政治は膠着状態になるであろう。

 また、韓国経済は、大統領周辺と財閥の癒着に国民の批判が集中したことから、財閥にとっては非常に厳しい環境になっている。李明博大統領の時代(2008年2月~13年2月)、韓国がOECD諸国の中で、最も早く経済の立て直しに成功したのは、財閥の輸出系企業を中心とする景気回復があったからである。しかし、現在はその財閥系の企業の輸出が落ち込んでいるのに加え、国民が財閥だけに良い思いをさせてはいけないとの監視の目を注いでいる。財閥系企業が、国内の利益のほとんどを稼ぎ出している韓国経済にあって、財閥系企業が国内の中小企業を犠牲にして輸出を伸ばし、GDPを押し上げることは不可能になっている。

 このような時に経済の腰を強くするのは、経済改革による生産性の向上である。しかし国会の膠着によって経済改革関連の法律は国会を通過しない。また、景気を後押しする財政政策も本来は有効であるが、韓国では企業や国民の債務が大きく膨らんでおり、インフラの開発もすでに進んでいるので、新たな需要は多くない。いずれにせよ、財政政策による経済立て直しを可能とする予算を大統領選挙の前に野党が認めるとも思わない。したがって、国内政治が不在の中で、政治が経済を引き上げることも不可能である。

 2017年にかけて韓国経済の下押し圧力が続くのではないか。