公共投資と不動産バブルで
下支えされた中国経済

 足元の中国経済に関して「不安定なことは確かだが、思ったよりも安定している」との見方が増えている。9月末以降、人民元の為替レートはドルに対して3.5%程度下落し、本土からの資金流出への懸念も高まってきた。

 そうした状況下、中国人民銀行(中央銀行)がドル売りの為替介入を行った。外貨準備高の減少が人民元への投機を生むとの見方も出始めた。実際、11月末の外貨準備高は3兆516億ドルと5年8ヵ月ぶりの水準だった。この落ち込みを見て、人民元を中心に中国の金融資産に対する売り圧力が高まると考えた市場参加者は多かったはずだ。

 それでも、中国の金融市場は安定を保っている。米国の大統領選挙後、先進国を中心に世界の株式市場が上向いていることは大きな支えだ。規制強化によって不動産セクターの鈍化も確認されてはいるものの、調整の範囲との見方が多い。

 世界的な株高の中、中国国内では株式市場から不動産市場への資金のシフトが進んでいるとの見方もある。人民銀行からは現段階での利上げは不要との見方も示されている。こうした展開を受けて、当面、中国本土の金融市場の安定は保たれると考える市場参加者は多い。

 それに加え、中国の経済指標も改善傾向にある。輸出入、消費者物価指数や生産者物価指数など、予想を上回る指標は多い。11月、財新のサービス業購買担当者景気指数(PMI)は1年4ヵ月ぶりの水準に上昇するなど、拡大基調で推移するセクターもある。

 ただ冷静に見ると、中国の過剰生産能力の解消は十分に進んでいるとは考えにくい。生産のリストラとは裏腹に鉄鋼、石炭業界では増産が進んでいる。これでは需給ギャップの拡大は避けられず、中長期的に中国の潜在成長率は低下する可能性が高い。

 それに加えて、民間セクターが抱える債務はGDPの規模に対して2倍以上に膨張している。依然として中国経済がリスクを抱えていることに変わりはない。

来年の党大会に向け
権力基盤の強化を目指す習近平

 今後の経済の展開を考える際、無視できないのが2017年の政治だ。1月20日にはトランプ氏が正式に米国大統領に就任し、経済・外交などの政策が徐々に明らかになる。秋には5年に1度の中国共産党の党大会が開かれる。

 党大会は中国共産党の最高意思決定機関だ。党大会に向け、習近平はより一層、自らの支配力、権力基盤を強化しようとするだろう。習近平が権力基盤を強化し、独裁体制を盤石のものとするためには、政敵の排除と民衆の不満を抑えることが欠かせない。

 基本的に、中国の経済は財政出動を中心とする投資頼みだ。7~9月期、中国の実質GDP成長率は前年同期比で6.7%だった。公共投資と不動産投資が成長を支え、不動産市況が悪化に転じつつある中、今後は財政への依存が高まるだろう。