多くの人にとって、結婚と言えば人生最大のイベントである。その「晴れの門出」をより感動的に演出するのが、挙式や披露宴だ。最近は、挙式や披露宴のニーズも多様化しており、ウェディングビジネスに関わる企業はよりお客のニーズにマッチしたサービスを提案しようと、趣向を凝らしている。

 そんな激戦状態のウェディング産業において、不況の向かい風にもかかわらず、安定した成長を続けているのが、ノバレーゼである。2010年12月期の売上高は対前年比2.7%増の108億7900万円、純利益は同7.3%増の10億3200万円を実現した。

 同社の中核事業は、自社施設や提携施設で婚礼に関わる総合的なプロデュースを行なう婚礼プロデュース事業、ウェディングドレスやタキシードを直営のドレスショップで貸し出し・販売する婚礼衣装事業、ホテル運営や挙式・披露宴で飲食サービスなどの提供を行なうホテル・レストラン事業の3つ。特に昨今ニーズが高まっているゲストハウス・ウェディングに強みを持ち、若いカップルのファンを増やしている。

 そんな同社が、ここにきて中国への進出を本格化しているという。結婚式は、国によってニーズが大きく変わるイメージが強い。日本型のウェディングビジネスは、果たして中国に根付くだろうか?

 ノバレーゼの浅田剛治社長に、中国戦略を詳しく聞いた。


中国に通い始めたのは10年以上も前
最初の目的は現地視察や人脈づくり

あさだ・たけはる/1969年生まれ。1992年株式会社リクルート入社。93年株式会社東海会館華寿殿(現株式会社シャンテ)入社、96年同社代表取締役就任。2000年株式会社ワーカホリック(現株式会社ノバレーゼ)設立、同社代表取締役社長に就任。Photo by Toshiaki Usami

――昨年から中国でのビジネスを強化していますが、なぜ中国に力を入れようと思ったのですか? 

浅田 経済成長や人口の増加が著しい中国市場は、全ての日本企業にとって大きな可能性を秘めています。私もこの有望市場に大きな魅力を感じ、現在持っているリソースの中から、余力がある範囲で本格的にトライしてみようと思いました。

 実は、中国に通い始めたのは、もう10年以上前のことになります。そのときは、主に現地の視察や人脈作りが目的でした。

 当時、中国には何もありませんでしたが、経済成長の予兆はありました。建設ラッシュであたり一面に粉塵が飛んでいたため、立っているだけで口の中がザラザラしたことを覚えています。