公約ほぼ実現なら米国はブームに
保護主義台頭なら景気は失速

 まずメインシナリオは、トランプ大統領の政策がそれなりに実現する「そこそこ実現ケース」。トランプ大統領の掲げる経済政策は図表1の通り。景気押し上げ効果の大きい財政政策について、トランプ大統領は法人税率の35%から15%への引き下げ、所得税は全所得区分で減税、インフラ投資は10年間で1兆ドルを掲げている。

◆図表1 トランプ氏の掲げる主な経済政策

 これに対してメインシナリオでは、法人税は18年から5%ずつ引き下げ、所得税は高所得者の減税幅が半分に圧縮される、共和党はもともと小さな政府志向なので、インフラ投資は公約の3分の1が実現するという前提を置いている。米国の会計年度は10月~翌年の9月なので、財政効果がフルに効いてくるのは17年後半から18年以降ということになる。

 現状の米国経済は、労働市場のひっ迫で賃金も上がっており個人消費は堅調、遅れていた企業の設備投資も上向きに転じており、「景気は自律得的な回復局面で、民間の力だけでも2%台前半の成長は可能な状況にある」(井上研究員)。これに財政支出の拡大で景気が押し上げられるため、成長率は17年後半から加速し3%前後に高まる。

 成長の加速でインフレ率も徐々に高まるため、イエレン議長率いるFRBは利上げを継続するが、利上げは年2回程度の緩やかなものにとどまる。トランプ大統領と議会の妥協で、財政赤字の拡大も緩やかなものにとどまると予想されるためだ。これに伴って、為替は緩やかなドル高が続く。円ドルは1ドル115円を中心レンジとして動く。トランプ大統領も対外政策では口先介入は続けるものの、景気回復が加速するため、強硬な策に打って出ることはないだろう。